唐物語(読み)からものがたり

精選版 日本国語大辞典 「唐物語」の意味・読み・例文・類語

からものがたり【唐物語】

平安時代末期の説話集。二巻(または一巻)。藤原成範(しげのり)一一三五‐一一八八)編か。永万元年(一一六五前後成立か。原拠が「史記」「漢書」「晉書」「蒙求」「白氏文集」などにある中国説話二七編を歌物語風に和訳したもの。

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デジタル大辞泉 「唐物語」の意味・読み・例文・類語

からものがたり【唐物語】

鎌倉時代の説話集。1巻または2巻。鎌倉中期以前の成立。藤原成範ふじわらのしげのり著という説もあるが未詳。「史記」「漢書」「白氏文集」などの中国説話27編を日本語に翻案したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「唐物語」の意味・わかりやすい解説

唐物語 (からものがたり)

中国の説話27編を翻訳した説話物語集。平安末期の成立。著者は藤原成範(1135-87)と言われる。王朝人に親しまれた〈楊貴妃〉〈反魂香〉〈王昭君〉〈呂太后〉〈張文成〉などの故事を,漢文訓読調の直訳ではなく,情趣豊かな和文に翻訳,和歌を配して王朝物語風に仕立てたもので,教訓的口吻,仏教的色彩伝奇への興味も見られるが,全体として主情的で,翻訳文学の先駆とされる。
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百科事典マイペディア 「唐物語」の意味・わかりやすい解説

唐物語【からものがたり】

中国の話をもとに歌物語風に翻案した説話集。1巻。27篇からなる。成立年代未詳だが,平安時代末か。作者に藤原成範をあてる説もある。説話・物語などに引用され,親しまれていた人物に関する話が多い。原拠として《白氏文集》をはじめ多数の漢籍があげられるが,《蒙求》などの類書に依った部分も多いと考えられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「唐物語」の意味・わかりやすい解説

唐物語
からものがたり

平安時代後期の説話集。権中納言藤原成範の作とみられるが不明。2巻。成立年未詳。中国の史書などにみえる著名な説話 27話を和文に改めたもの。直訳ではないが,翻訳翻案文学の初期の作。

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