和泉市(読み)イズミシ

デジタル大辞泉 「和泉市」の意味・読み・例文・類語

いずみ‐し〔いづみ‐〕【和泉市】

和泉

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日本歴史地名大系 「和泉市」の解説

和泉市
いずみし

面積:八五・四四平方キロ

府の南部、和泉地方の中央やや北寄りに位置する。北は高石たかいし市、北から東にかけては堺市、南東は河内長野市、南は和泉山脈を挟んで和歌山県伊都いと郡かつらぎ町、西は岸和田市、北西は泉北郡忠岡ただおか町・泉大津市で、市域は南北に長い。市の南部は和泉山脈に連なる山地で、そこに源を発した槙尾まきお川と松尾まつお川が北西流する。槙尾川が刻んだ谷を池田いけだ谷、松尾川の刻んだ谷を松尾谷といい、南部の横山よこやま谷と合せて市域の北部分を占める。交通網は、市域北端部近くを北東―南西方向に国鉄阪和線が通り、その北を第二阪和国道が、その南を府道大阪―和泉―泉南線(熊野街道。当地辺では小栗街道とよぶ)がほぼ並行して走る。南北の交通は府道泉大津―粉河線がほぼ槙尾川沿いに、府道父鬼―和気線が松尾川沿いに通り、横山高校前で泉大津―粉河線が国道一七〇号と連絡している。そのほか若樫わかかし仏並ぶつなみを通る大阪外環状線が工事中である(一部開通)

市名は当市の府中ふちゆうにかつて和泉国の中心機関である和泉国府があったこと、その国府域に所在する泉井上いずみいのうえ神社境内に地名和泉の起源となったと伝える清水があることから命名された。

〔原始〕

横山谷の父鬼ちちおに町からサヌカイト製の打製石器が採集され、信太山しのだやま丘陵からも打製の石匙が出土しているが、縄文時代の遺跡は現在のところ発見されていない。弥生時代の遺跡としては、池上いけがみ町から泉大津市にかけての池上曾根いけがみそね遺跡が、全期にわたる大規模な遺跡として知られる。十数年にわたる発掘調査によって、同遺跡が弥生前期に形成された集落であり、以後連綿として生活が続けられたことが確認されている。その他弥生時代後期の遺跡として、いずれも高地性集落遺跡である惣の池そうのいけ遺跡・観音寺山かんのんじやま遺跡がある。古墳は前期に属するものに黄金塚こがねづか古墳・丸笠山まるがさやま古墳などがある。いずれも前方後円墳で黄金塚古墳からは魏の景初三年(二三九)銘銅鏡が出土していて注目される。景初三年は「魏志」東夷伝倭人条によれば邪馬台国女王が魏明帝から詔書を受け、親魏倭王の称号や品物を下賜された年であり、品物のなかには銅鏡一〇〇面が含まれていた。同古墳の中央槨の被葬者は女性と推定されている。丸笠山古墳は信太千塚しのだせんづか古墳群中の一基で、立地条件・墳形・埴輪の特徴などから、黄金塚古墳に近い時期に築造されたものと推定されている。当市域では一三〇基近い古墳が確認されているが、そのうち八〇余基は信太千塚古墳群に属する。同古墳群には丸笠山古墳のように前期のものもあるが、大半はいずれも後期の円墳である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和泉市」の意味・わかりやすい解説

和泉〔市〕
いずみ

大阪府南部の市。和泉山脈北斜面から河泉丘陵,信太山を占める。 1956年和泉町と北池田村,南池田村,横山村,北松尾村,南松尾村,南横山村の6村が合体して市制。 1960年八坂町信太村を編入。古代は和泉国の国府所在地で,中心市街地の府中の御館森に庁址が残る。江戸時代より和泉木綿で知られる伝統的な機業地で,近隣の泉大津市,岸和田市などとともに泉州綿業地帯を形成し,1960年代半ばにその発展はピークを迎えた。農村部ではキク,ケイトウなどの花卉,山麓ではミカンの栽培が行なわれる。市域中央東部,光明池周辺の堺市にまたがる丘陵地には 1965年より泉北ニュータウンが建設され,泉北高速鉄道が敷設された。和泉市久保惣記念美術館があり国宝の書などを蔵する。北部に国の史跡である池上曾根遺跡,南東部の槇尾山には古刹施福寺があり,金剛生駒紀泉国定公園に属する。市域北端を JR阪和線が東西に走り,中央部には泉北高速鉄道の終着駅,和泉中央駅がある。阪和自動車道の岸和田和泉インターチェンジがあるほか,国道 170号線,480号線が通る。面積 84.98km2。人口 18万4495(2020)。

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