和更紗(読み)わさらさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「和更紗」の意味・わかりやすい解説

和更紗
わさらさ

日本製の更紗、すなわち江戸時代に渡り物の更紗に模して日本でつくられた模製の更紗をいう。だいたい2種類あり、その一つは、天草(あまくさ)更紗、鍋島(なべしま)更紗、堺(さかい)更紗などの名でよばれているもので、これは更紗風の文様を日本の技術型紙木版に糊(のり)を用いたりして染めたもの。他はいわゆる渡り物の偽物で、江戸更紗などとよばれたものがある。これはほとんどが古渡りの描き更紗の写しである。普通、和更紗という場合は、この二つのうち前者をさしていることが多い。

山辺知行

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の和更紗の言及

【更紗】より

…主として木綿に手描き,あるいは型を用いて模様を染めたもので,インド,ジャワをはじめタイ,スマトラ,セレベス,中国,イラン,ヨーロッパ製がある。日本で模倣製作されたものは特に〈和更紗〉と称する。〈さらさ〉は元来輸入語であるが,今日,日本でのみ使用される染色用語で,英語ではインド更紗には〈チンツchintz〉,ジャワ更紗には〈バティックbatik〉,ヨーロッパの更紗には〈プリントprinted cotton〉の名が当てられる。…

※「和更紗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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