呼・喚(読み)よぶ

精選版 日本国語大辞典 「呼・喚」の意味・読み・例文・類語

よ・ぶ【呼・喚】

[1] 〘自バ五(四)〙 声がひびく。
万葉(8C後)一五・三六二二「月よみの光を清み夕なぎに水手(かこ)の声欲妣(ヨビ)浦廻(うらみ)漕ぐかも」
[2] 〘他バ五(四)〙
① 声をあげて他人の名前などを口にする。
※万葉(8C後)一四・三三六二「相模嶺の小峯見かくし忘れ来る妹が名欲妣(ヨビ)て吾(あ)を哭(ね)し泣くな」
② 名を…という。その者の名を…だとする。称する。
書紀(720)皇極元年四月(岩崎本平安中期訓)「唯塞上をのみ喚(ヨハ)ず」
平家(13C前)一一「判官五位尉になられし時、五位になして、大夫黒とよばれし馬也」
③ 声をかけたり、知らせを出したりして来させる。召し寄せる。
※万葉(8C後)二〇・四三一九「高円(たかまと)秋野の上の朝霧に妻欲夫(ヨブ)壮鹿(をしか)出で立つらむか」
④ 招待する。招く。また、招いてごちそうする。供応する。
※枕(10C終)五「ここかしこによばれ時めくにつけて、やすげもなし」
⑤ 妻として家に入れる。めとる。結婚する。
※虎明本狂言・伊文字(室町末‐近世初)「いまだ女共をもたぬによって、あなたこなたより、よべといふものは、某がいやなり」
⑥ (比喩的に) 引き寄せる。「海苔(のり)湿気を呼びやすい」
日葡辞書(1603‐04)「メイキュウ。ナク ハト〈略〉メイキュウ アメヲ yobu(ヨブ)
⑦ 評判などを集める。誘う。
東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉七月暦「今年一本拾円と云ふやうな高価を呼(ヨ)んだものも」
⑧ 確認するように、声に出していう。言葉を発する。
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉一「二郎は、『一 二 三』とよびながら、柿をなげたれば」

よばわ・る よばはる【呼・喚】

〘自ラ四〙
大声で言う。呼ぶ。
※平家(13C前)九「其時下人共、河原殿おととい、只今城のうちへまっさきかけてうたれ給ひぬるぞや、とよばはりければ」
② 名づける。称する。
江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉七「法燈を掻き立て遂に江戸湯島の片ほとりへ移して、物置小屋みたやうな一宇を海禅寺だなどと呼(ヨ)ばはり」

よば・る【呼・喚】

〘他ラ四〙 (「よばわる」の変化した語か) 呼ぶ。
※類従本赤染衛門集(11C中)「はらからに住みし人なれば、昔の人あらましかば近き程にてよばらましなどいひて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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