うま‐さけ【味酒】
[1] 〘名〙 味の良い酒。上等の酒。
美酒。味酒。
※
書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「脚日木
(あしひき)の此の傍山
(かたやま)に牡鹿
(さをしか)の角挙
(ささ)げて吾が儛
(まは)しめば、旨酒
(ムマさけ)、餌香
(えか)の市に直
(あたひ)以て買はぬ」
[2] 枕
① 味の良い酒である神酒
(みわ)というところから「
みわ(神酒)」と同音の
地名「
三輪」や、三輪山と同義の「三諸
(みもろ)」「三室
(みむろ)」「神名火
(かむなび)」にかかる。うまさけを。うまさけの。
※書紀(720)崇神八年一二月・
歌謡「宇磨佐開
(ウマサケ) 三輪の殿の 朝門
(あさと)にも 出でて行かな 三輪の
殿門を」
※
万葉(8C後)七・一〇九四「我が衣色どり染めむ味酒
(うまさけ)三室の山は
黄葉(もみち)しにけり」
② 上等の酒の産地であった「
鈴鹿(すずか)」などにかかる。
※
皇太神宮儀式帳(804)「汝国名何問賜き。白く味酒
(うまさけ)鈴鹿国と白き」
うま‐き【味酒】
〘名〙 香り高い上等な酒。うまさけ。
※
白羊宮(1906)〈
薄田泣菫〉ああ
大和にしあらましかば「さながらの八塩折
(やしほをり) 美酒
(ウマキ)の甕
(みか)のまよはしに、さこそは酔はめ」
あじ‐ざけ あぢ‥【味酒】
〘名〙 (
上代語「うまさけ(味酒)」を誤読して生じた語) 上等の酒。また、
助詞「の」を添えて「みわ」「かみ」「か」などにかかる
枕詞の働きをする。
※
夫木(1310頃)一五「あぢざけの三わのはふりが山照らす秋の
もみぢの散らまく惜しも〈
長屋王〉」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「味酒」の意味・読み・例文・類語
うま‐さけ【▽味酒/▽旨酒】
[名]《「うまざけ」とも》酒の美称。味のよい酒。美酒。「勝利の―を汲む」
[枕]神に供える美酒や、それを醸造する瓶を「みわ」というところから、「三輪」と、その別名の「三室」「三諸」にかかる。
「―三輪の山あをによし奈良の山の山のまにい隠るまで」〈万・一七〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例