味わい(読み)あじわい

精選版 日本国語大辞典 「味わい」の意味・読み・例文・類語

あじ‐わい あぢはひ【味わい】

〘名〙
① 味わうこと。また、味。良い味についていう。
書紀(720)皇極三年三月(図書寮本訓)「是に、押坂直と、童子と、煮て食(くら)ふ。大(はなは)た気(かうは)しき味(あちハヒ)有り」
古本説話集(1130頃か)五三「鍋に入れて煮食ひつ。そのあぢはひのむまきこと」
② 物事の趣味。物事の好ましいおもむき。妙味
源氏(1001‐14頃)須磨「この世のあぢはひをだに、知る事難(かた)うこそあなれ」
※申楽談儀(1430)序「能のあちはひ」
③ 食物。
※書紀(720)推古一二年四月(岩崎本訓)「餮(アチハヒのむさぼり)を絶ち」
※浜松中納言(11C中)三「今は苔(こけ)の衣にやつれて、松の葉をあぢはひにて過ぐす」
④ 飲食の欲。食欲。
徒然草(1331頃)二四二「楽欲(げうよく)する所〈略〉二つには色欲、三つには味(あじはひ)なり」
祝儀または心づけ。文政・天保(一八一八‐四四)頃の、上方での流行語。
※当世花詞粋仙人(1832)「心づけ、あじわい」

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デジタル大辞泉 「味わい」の意味・読み・例文・類語

あじ‐わい〔あぢはひ〕【味わい】

飲食物が舌に与える感じ風味。「新茶には独特の香りと深い味わいがある」
おもむき。妙味。「味わいのある言葉
[類語](1五味香味風味持ち味フレーバー/(2興味醍醐味だいごみ持ち味おもむき風情気韻風韻幽玄気分内容興趣情趣情調情緒風趣風格余情余韻詩情詩的滋味妙味雅味物の哀れポエジーポエティックポエトリーロマンチックメルヘンチックリリカルセンチメンタルファンタジックファンタスティック幻想的夢幻的神秘的ドリーミー感傷的

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流通用語辞典 「味わい」の解説

味わい

マーケティング・コンセプトなかに、時として日常的な言葉がキーワードとして登場することがある。「味わい」もその一つであり、量的充足を求めた昭和40年代、機能中心の「質的充実」の昭和50年代を受けて、その先を展望する市場の切り口として考えられている。味わい市場では、従来の「もっている/もっていない」「よい商品/悪い商品」といった評価ではなく、「好き/嫌い」といった、感覚的なものが商品選択の要因になってきている。

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