周邦彦(読み)しゅうほうげん

精選版 日本国語大辞典 「周邦彦」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐ほうげん シウハウゲン【周邦彦】

中国北宋の文章家。字(あざな)は美成。号は清真居士浙江銭塘の人。唐代の詩句と美詞・艷語および音律を巧みに組み合わせて、蘇東坡の豪放派(北派)に対して、南宋婉約派(南派)の祖となった。詞集に「片玉詞」がある。(一〇五六頃‐一一二一頃

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「周邦彦」の意味・わかりやすい解説

周邦彦
しゅうほうげん
(1056―1121)

中国、北宋(ほくそう)の官僚文人、詞人。字(あざな)は美成(びせい)、号は清真居士。銭塘(せんとう)(浙江(せっこう)省杭州(こうしゅう))の人。太学生(たいがくしょう)のときに首都開封の繁華なさまをつづった「汴都(べんと)の賦」を献上して文才を認められ、任官して秘書監(宮廷図書館長)、提挙大晟府(たいせいふ)(音楽所長官)などを歴任した。唐代に始まり宋代に流行した歌辞文芸「詞」の作家としてことに有名で、洗練された精巧な形式と、「渾厚(こんこう)和雅」と評される奥深い典雅作風は、この文学様式の一頂峰であり、南宋文人の模倣作の集(方千里『和清真詞』など)が何種もある。詞集は『清真集』または『片玉詞』2巻。南宋・陳元竜の注を付する『片玉集』10巻がある。

村上哲見

『中田勇次郎著『漢詩大系24 歴代名詞選』(1965・集英社)』『村上哲見著『中国詩文選21 宋詞』(1973・筑摩書房)』

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改訂新版 世界大百科事典 「周邦彦」の意味・わかりやすい解説

周邦彦 (しゅうほうげん)
Zhōu Bāng yàn
生没年:1058-1123

中国,北宋末の文人官僚,詞人。字は美成,号は清真居士。浙江省杭州銭塘の人。秘書監(宮廷図書館長),提挙大晟府(音楽所長官)などを歴任。宋代に流行した歌辞文芸であるを洗練して精巧な形式を完成,かつ典雅な奥深い(渾厚和雅)作風を確立,後世模範となる。方千里《和清真詞》など模倣作が多い。詞集《清真集》《片玉詞》2巻,そして南宋の陳元竜注《片玉集》10巻が残る。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周邦彦」の意味・わかりやすい解説

周邦彦
しゅうほうげん
Zhou Bang-yan

[生]嘉祐1(1056)
[没]宣和3(1121)
中国,北宋の詞人。銭塘 (浙江省) の人。字,美成。号,清真居士。元豊年間,神宗に認められ,太学正に抜擢された。徽宗のとき音楽を司る大晟府 (たいせいふ) の長官をつとめ,その後,地方の知事を歴任して辞職し,明州に隠居して没した。その詞は多く閨情や旅愁うたい,また詠物の詞もあるが,柳永らのいわゆる婉約派の特徴を発展させた華麗で清新な作風をもつ。音楽にも精通し,自分で作曲した詞も多い。「詞家の正宗」とも呼ばれ,柳永,辛棄疾姜 夔 (きょうき) と並んで「四大詞人」と称され,後世に大きな影響を残した。その詞集を『清真詞』または『片玉詞』という。

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世界大百科事典(旧版)内の周邦彦の言及

【詞】より

…北宋後半になると,詩人文章家として有名な蘇軾(そしよく)(《東坡楽府》)をはじめ,黄庭堅,秦観など,文人官僚はみな詞を作るようになる。北宋末の周邦彦(《片玉詞》《清真詞》)は慢詞の手法を柳永から受けつぎながら,卑俗さを脱して典雅幽遠な詞風を完成した。音楽に通じ,したがって韻律も精密で,後世〈詞家の正宗〉と尊重される。…

※「周邦彦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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