周而復(読み)しゅうじふく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「周而復」の意味・わかりやすい解説

周而復
しゅうじふく / ジョウアルフー
(1914―2004)

中国の小説家。南京(ナンキン)に生まれる。上海(シャンハイ)光華大学英文科在学中、欧陽山(おうようざん/オウヤンシャン)、田間(でんかん/ティエンチエン)らと交遊し『文学叢報(そうほう)』『小説家』など雑誌発行に協力。日中戦争中、抗日根拠地延安に赴き、八路軍に従って華北の農村地帯を転戦ルポルタージュ『ノーマン・ベチューン断片』(1944)、長編『ベチューン先生』(1946)、『燕宿崖(えんしゅくがい)』(1947、邦題『八路軍』)、短編集『谷間の春』(1955)などをこの間に執筆。建国後、民族資本企業の社会主義改造をテーマとし、文革前より執筆していた大都市上海の変貌(へんぼう)を背景とする長編『上海の朝』全4巻を80年に完成、発表した。文革後、日中戦争の全過程を中国人の立場から巨視的に描いた『長城万里図』全6巻(1995)を完成させた。元文化部副部長。

前田利昭

『春日明訳『八路軍』(1951・三一書房)』『島田政雄訳『医師バツーン』(1951・青銅社)』『岡本隆三・伊藤敬一訳『上海の朝』(邦訳は全4巻中2巻分・全4冊、1964・至誠堂)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周而復」の意味・わかりやすい解説

周而復
しゅうじふく
Zhou Er-fu

[生]1914.1.3. 南京
[没]2004.1.8. 北京
中国の小説家。本名周祖式。 1938年上海光華大学英文科卒業。同大学在学中から左翼文学運動に参加し,日中戦争初期に抗日運動に加わる。 1939年中国共産党に入党戦後,中央人民政府文芸賞を獲得した『ノーマン・ベチューン断片』 (1944) や,『医師ベチューン』 (1949) を発表。中華人民共和国成立後,対外文化協会副会長など要職についた。上海の資本主義工商業の社会主義改造を主題とした4部作『上海の朝』 (1958~80) が文化大革命中に劉少奇路線に沿うものとして批判を受けた。文革後に名誉を回復され,国務員文化部副部長となった。 1985年中国統戦理論研究会副会長となったが,1986年訪日中に靖国神社参拝して党を除名された。その他の作品に『高原短曲』 (1947) ,『八路軍』 (原題『燕宿崖』) (1949) ,『偉人周恩来』,『長城万里図』など。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「周而復」の意味・わかりやすい解説

周而復【しゅうじふく】

中国の作家。1930年代から創作開始抗日戦争から解放後にかけて《医師ベチューン》《ノーマン・ベチューン断片》等を発表,また解放後の上海の階級闘争を扱った長編《上海の朝》がある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android