呉有訓(読み)ごゆうくん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「呉有訓」の意味・わかりやすい解説

呉有訓
ごゆうくん / ウーユーシュン
(1897―1977)

中国の物理学者。江西(こうせい)省高安に生まれる。南京(ナンキン)高等師範学校理化部に学んだのちアメリカへ留学。シカゴ大学のコンプトンのもとで研究に従事し、光の粒子性を実証したコンプトン効果の理論的解明に貢献した。またX線散乱および吸収に関する研究で博士号を受け、シカゴ大学物理研究室助手および講師を務めた。1926年帰国。江西大学委員、東南大学物理学教授、北京(ペキン)清華大学物理系教授などを歴任し、日中戦争中は西南連合大学理学院長を務め、戦後、中華人民共和国綱領を宣言した人民政治協商会議(1949)に無党派代表として参加した。解放後は科学院副院長、科学技術協会第一期全国委員会副主席など歴任する一方で、1960年度の中国・ハンガリー科学協力協定の調印をはじめとするルーマニアブルガリアなど東ヨーロッパ諸国との科学上の協力計画に取り組んだ。また教育者として教育組織の整備、人材の育成に努力した。

[高橋智子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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