吹通(読み)ふきどおし

精選版 日本国語大辞典 「吹通」の意味・読み・例文・類語

ふき‐どおし ‥どほし【吹通】

〘名〙 (「ふきとおし」とも)
① 風がたえず吹き続けること。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉五「欄間(らんま)と云ふ様な所が幅一尺程切り抜かれて夏冬吹き通しに引窓代理を勤めて居る」
② 風が吹き抜けること。また、その場所。吹き抜け。
※うつせみ(1895)〈樋口一葉〉一「手狭なれども北南吹(フキ)とほしの風入りよく、庭は広広として」
③ 笛などを休みなく吹き続けること。
④ 大言壮語し、自慢し続けること。

ふき‐とお・す ‥とほす【吹通】

[1] 〘自サ五(四)〙 風がたえず吹き続ける。また、風が吹き抜ける。
源氏(1001‐14頃)朝顔「み几帳のすきかげ哀れに、おひ風なまめかしくふきとほし」
[2] 〘他サ五(四)〙
① 笛などを休みなく吹き続ける。笛を十分に吹き鳴らす。
※源氏(1001‐14頃)横笛「さらに、これが音(ね)のかぎりは、えふきとおさず」
② 大言壮語し、自慢し続ける。

ふき‐とお・る ‥とほる【吹通】

〘自ラ五(四)〙
① 風が吹き抜ける。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「淋敷い…ソラ風が吹通る」
② 笛の音が響き渡る。
※習道書(1430)「本てうしのままに、心もなくふきとをらば

ふき‐かよ・う ‥かよふ【吹通】

〘自ハ四〙 風が吹いて通る。風が吹いておとずれる。
斎宮女御集(985頃か)「しらくものかかるやまべをへだててもをぎのはかぜはふきかよはなむ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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