君代・君世(読み)きみがよ

精選版 日本国語大辞典 「君代・君世」の意味・読み・例文・類語

きみ‐が‐よ【君代・君世】

[1] 〘連語
① (「よ」は寿命、いのちの意) あなたの寿命。あなたの年齢。「きみ」は、主として男性の、尊敬すべき相手をさしていう。
万葉(8C後)一・一〇「君之歯(きみがよ)も我が代も知るや磐代の岡の草根をいざ結びてな」
古今(905‐914)神あそびの歌・一〇八五「君がよはかぎりもあらじ長浜の真砂(まさご)の数はよみつくすとも〈よみ人しらず〉」
② わが君の時代。
(イ) 一般に、高貴な人の生存している時、栄えている時をさしていう。
※古今(905‐914)哀傷・八三〇「先の太政大臣(おほきおほいまうちぎみ)白川のあたりに送りける夜よめる 血の涙落ちてぞたぎつ白川は君が世までの名にこそ有りけれ〈素性〉」
(ロ) 特に、天皇の治世をいう。現天皇の聖代。
※栄花(1028‐92頃)松の下枝「きみがよは風も心をよせつれば枝のどかなる住吉の松」
[2] 〘名〙
食物の名。白餡(しろあん)の濃い汁粉に玉子を割り込んで軽く煮たもの。卵の黄身にもじっていう。
[3] 日本の国歌。「古今‐賀」の「わが君は千世にやちよにさざれ石のいはほとなりてこけのむすまで〈よみ人しらず〉」という長寿祝福の歌が、後世もてはやされ、「隆達節歌謡」「和漢朗詠集」などの流布板本や浄瑠璃などになって、初句が「君が代は」として伝えられた。はじめ、明治二年(一八六九)イギリス人フェントンが作曲。のち、明治一三年、宮内省式部寮雅楽課の林広守が現行曲を作曲。同二六年、文部省が祝日大祭日唱歌の一つとして制定し、国歌として慣習的に認められてきたが、平成一一年(一九九九施行の「国旗及び国歌に関する法律」によって正式に国歌と定められた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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