向背(読み)こうはい

精選版 日本国語大辞典 「向背」の意味・読み・例文・類語

こう‐はい カウ‥【向背】

〘名〙
① 従うこととそむくこと。従ったりそむいたりすること。きょうはい。
※翰林葫蘆集(1518頃)七「以其節凜然而見心之無向背也」
報徳記(1856)八「何ぞ人情の向背(カウハイ)是の如く速なるや」
② 互いに背を向けて親しくまじわらないこと。きょうはい。
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「かやうに兄弟の御中向背(カウハイ)におはせしかば」
物事状態や成りゆき。
米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一「風の向背にて、寒暖遽(にわか)に変すること」

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デジタル大辞泉 「向背」の意味・読み・例文・類語

きょう‐はい〔キヤウ‐〕【向背/×嚮背】

《「きょうばい」とも》
従うことと背くこと。こうはい。〈色葉字類抄
背き合うこと。仲たがい。
九郎判官と―し給ふことことわりかな」〈義経記・六〉

こう‐はい〔カウ‐〕【向背】

従うこととそむくこと。「向背常ならず」
物事の成り行き。動静。「事の向背を見守る」

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普及版 字通 「向背」の読み・字形・画数・意味

【向背】こう(かう)はい

賛成と不賛成。順逆動向。〔魏書、楊侃伝〕今且(しばら)く軍を此(ここ)に停めて以て卒を待ち、ねて民の向背をん。然る後行ふべし。

字通「向」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の向背の言及

【不孝】より

…すなわち,当時この行為を〈不孝す〉といった。子孫のいかなる行いに対して不孝がなされるかについては,公家法では教令違犯,供養(くよう)の闕(祖父母,父母を養ううえでの手落ち),また武家法では教令違犯,敵対,向背(きようはい)(教訓,指示に背く),不調(ふぢよう)(不行跡)などの抽象的な非行表現で十分であって,非行の内容を具体的に示す必要はなかった。不孝された者は,家から追放され,嫡子に立って家を継ぐ身分も,祖父母,父母の財産の分与にあずかる資格もともに奪われ,すでに与えられた財産も取り上げられた。…

※「向背」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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