向前(読み)むこうまえ

精選版 日本国語大辞典 「向前」の意味・読み・例文・類語

むこう‐まえ むかふまへ【向前】

〘名〙
真正面。また、物などを間にはさんだむこう側の正面
洒落本・青楼真廓誌(1800)一「むこふめへからわるくからまるぜへ」
人情本・明烏後正夢(1821‐24)三「行にゆかれぬ用水の、溝を隔て向前(ムカフマヘ)
② 人や家などが互いに向かいあうこと。また、向かいあう関係にある所。むこうどうし。
※歌舞伎・黒手組曲輪達引(1858)二幕「門中でお前に耻をかかされては、向う前へ対しても外聞悪く」

きょう‐ぜん キャウ‥【向前】

〘名〙
① いままで。さきほど。過去。こうぜん。
海道記(1223頃)萱津より矢矧「羊質未参の後悔に向前の恨あり」 〔白居易琵琶行
② 向かいあうこと。一座すること。
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二二「其人滑稽奇談能く坐興を添ゆべき者と雖ども、亦往往向前(キャウゼン)の興を破る事あり」 〔孟浩然‐越中逢天台太乙子詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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