向井流(読み)むかいりゅう

精選版 日本国語大辞典 「向井流」の意味・読み・例文・類語

むかい‐りゅう むかゐリウ【向井流】

〘名〙 水泳の一流派。江戸初期に、船手奉行向井兵庫頭正綱創始平泳抜手・肩差・平水(へいすい)などが基本泳法船手組独特の泳法で、俗に御船手泳ぎという。
※こしかたの記(1961)〈鏑木清方発端築地川には向井流だの水府流だのといふ水泳指南の仮小屋があって」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「向井流」の意味・読み・例文・類語

むかい‐りゅう〔むかゐリウ〕【向井流】

日本泳法の一流派。江戸初期に、幕府の船手奉行向井正綱が創始。敵前泳法として発展し、その後水練目標とする泳法も加えられた。基本泳法は平泳ぎ・抜き手・肩差し・平水など、俗に御船手泳ぎともいう。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「向井流」の意味・わかりやすい解説

向井流
むかいりゅう

現存する日本泳法の一流派。徳川幕府の御船手(おふなて)組(現在の海軍にあたる)の組頭であった向井兵庫頭正綱(ひょうごのかみまさつな)を流祖とする泳法。向井流は、他の流派が陸上の対水技術として発達したのに対し、操船術の付属技術として発展した点に特色がある。向井流の泳ぎは別名御船手泳ともいわれており、また向井流では水術でなく水法と称している。向井流の泳ぎは、半身に構える平泳ぎを本体としており、抜手(ぬきて)、平掻(ひらかき)、肩指(かたさし)、平水(へいすい)などがあり、飛込には順下、逆下などの特色あるものがある。伝書としては向井将監正直(しょうげんまさなお)の『向井流水法秘伝書』がある。

[笹島恒輔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の向井流の言及

【水泳】より

…立体を主とする。(4)向井流 江戸時代初頭の御船手奉行(おふなてぶぎよう)向井正綱を始祖とし,権威があった。明治に入って笹沼良助が笹沼流を開いた。…

※「向井流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android