精選版 日本国語大辞典 「同」の意味・読み・例文・類語
おなじ【同】
(「おなし」とも)
※法華経玄賛平安中期点(950頃)「正に此(ここ)と同(おなシ)なり」
※九月十四日の朝(1902)〈正岡子規〉「足の動かぬ事は前日と同じであるが」
[2] 〘副〙 (仮定の「なら」と呼応して用いられる。古くは「を」を伴って同様の意を表わす場合がある) どうせ。どっちみち。
※今昔(1120頃か)二六「後(のち)の亡(ほろ)びも不苦(くるしからず)。同じ无(な)く成らむを、此(かく)て止(やみ)なむ」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「おなじ言ふのならお勢の居ない時だ」
[補注]形容詞シク活用「同じ」と形容動詞「同じ」は、体言に続く時の語形が同一であり、その時は用例文によって品詞を区別しがたい。この辞典では「同じ+体言」の用例は、便宜上すべて形容詞「同じ」の項に収めた。
おなじ【同】
〘形シク〙 (「おなし」とも。体言に続くときには、「おなじ」と「おなじき」の二つの活用形が用いられた)
① 一つのものが(時間の経過や状況の違いにもかかわらず)不変である。変わらない。同一である。
※万葉(8C後)一八・四〇七三「月見れば於奈自(オナジ)国なり山こそば君があたりを隔てたりけれ」
※万葉(8C後)一八・四〇七六「あしひきの山は無くもが月見れば於奈自伎(オナジキ)里を心隔てつ」
② 二つ以上の物事が共通性を持っている。二つ以上のものの動作、状態、程度などに違いがない。共通の様相、状況を呈する。同様である。
※万葉(8C後)一五・三七七三「君がむた行かましものを於奈自(オナジ)こと後れて居れどよき事もなし」
※風姿花伝(1400‐02頃)五「久しく花のなからんは、いづれの風体をも知らぬにおなじかるべし」
※今昔(1120頃か)九「貞観七年と云ふ年、索胄、忽に死ぬ。同じき八年の八月に至て」
こと【同】
〘副〙 同じ…するなら。どうせ…するのなら。ある個別的な実現のし方をする動作を、それとは異なった実現のし方を仮想して対比し、いずれも動作としては同じであるとみなしつつ、そうした異なる実現のし方もあろうに、と考える時の、同じとみなす気持を表わす。
おやじ【同】
〘形シク〙 =おなじ(同)〔形〕
※書紀(720)天智一〇年正月・歌謡「橘は 己が枝枝 生(な)れれども 玉に貫(ぬ)く時 於野児(オヤジ)緒に貫く」
※地蔵十輪経元慶七年点(883)四「種種に駆使せむこと諸の僕庶に同(オヤジ)くせむ」
おんなじ【同】
(「おんなし」とも。「おなじ」の変化した語)
[1] 〘形動〙 =おなじ(同)〔形動〕
[2] 〘副〙 =おなじ(同)〔副〕
おなじ・い【同】
〘形口〙 (シク活用形容詞「おなじ(同)」の口語化したもの。現在はあまり用いられず、形容動詞「同じ」が多く使われる) 同一である。同様である。
※両足院本周易抄(1477)「陰は次第に消していくぞ。乾の卦の徳と同しいぞ」
どう‐・ずる【同】
〘自サ変〙 どう・ず 〘自サ変〙 同意する。賛成する。くみする。調子をあわせる。どうじる。
※落窪(10C後)二「君は更にどうじ給ふべきにもあらず」
※仮名草子・浮世物語(1665頃)四「あしき道にはおぼれやすく同(ドウ)じやすし」
おなじく【同】
〘接続〙 (形容詞「おなじ」の連用形から転じたもの) 先行の事柄に、後行の事柄が並列的に付加されることを示す。また、同一の内容、種類のものを列挙する時、くり返しを避けて用いる。並びに。および。
※曾我物語(南北朝頃)八「朝比奈三郎義秀、同く彦太郎」
どう・じる【同】
〘自ザ上一〙 (サ変動詞「どうずる(同)」の上一段化したもの) =どうずる(同)
※街の物語(1934)〈榊山潤〉「草田さん自身その非難に同じるものがあって」
どう‐・ず【同】
〘自サ変〙 ⇒どうずる(同)
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