同位体シフト(読み)ドウイタイシフト

化学辞典 第2版 「同位体シフト」の解説

同位体シフト
ドウイタイシフト
isotope shift

分子内の原子同位体で置換することによって,分子のスペクトル線波長にずれが現れる現象.同位体シフトには,同位体の原子核の質量差によって生じるシフト(質量シフト効果)と,同位体によって原子核の形や大きさが違うことに起因する原子核の電荷分布の差異(場シフト効果)で生じるシフトの二つがある.質量シフト効果は軽い元素ほど大きく現れ,場シフト効果は重い元素ほど大きく現れる.中重元素では両シフト効果が現れる.[別用語参照]同位体効果

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「同位体シフト」の意味・わかりやすい解説

同位体シフト
どういたいシフト
isotope shift

同位体偏移ともいう。原子スペクトル振動数が原子核の質量差,すなわち同位体の違いによってわずかにずれること。

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世界大百科事典(旧版)内の同位体シフトの言及

【同位体分離】より

…重水素のほか,たとえばB,N,Oなど比較的軽い同位体の分離に化学交換法が使用される。(7)レーザー法 原子や分子の光吸収スペクトルの吸収波長は同位体によってごくわずか異なり,同位体シフトと呼ばれる。その波長が,ある同位体を含む化学種のスペクトルの吸収波長に一致し,波長幅が同位体シフトの間隔より狭いレーザー光を同位体混合系に照射すると,その同位体を含む化学種のみを選択的に高いエネルギーレベルへ励起することができる。…

※「同位体シフト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」