精選版 日本国語大辞典 「吉見幸和」の意味・読み・例文・類語
よしみ‐ゆきかず【吉見幸和】
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江戸中期の国学者,神道家。尾張の人。通称定之助,恭軒または風水翁,風水散人と号す。尾張藩主徳川綱誠に仕え,名古屋東照宮の祠官となり,刑部大輔に任じ,正四位下に叙せられた。後左京大夫に昇進,在職33年で致仕の後89歳で没した。儒学を浅見絅斎(けいさい),神道を玉木葦斎(いさい)に,和歌を僧契沖に学び,和漢の学を重ね,有職故実(ゆうそくこじつ)に暁通していたが,家は代々神道家であったため幸和の本領も神学にあり,当時の神道家の弊習を矯正し,垂加流より出てみずから一派を成した。考証的学風によって《神道五部書》が偽書であることを解明して《五部書説弁》を著した。そのほか《神代正義》《神学弁義》などの著作がある。徳川中期になると考証的学風が勃興し,儒学においては徂徠学が従来の程朱学に対し自由討究の学問を提唱した。神道においても秘伝重視の垂加神道に対し,垂加神道の中から秘伝批判の学説が勃興する。それが神典批判の幸和の学問であった。
執筆者:平 重道
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(白山芳太郎)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…中世には,神宮の伝承を歴史的に述べようとした前3書が神書として重んぜられていたが,近世になって山崎闇斎をはじめとする垂加流の神道家が,後2書の反仏教的な主張を高く評価したために,神道五部書という呼び方が一般にひろまった。五部書はいずれも奈良時代には成立していたと記されているが,江戸時代中期に吉見幸和が偽書であることを論証して以来,長い研究史を経て,鎌倉時代中期にまず後2書が作られ,ついで前3書が書かれたと考えられるようになった。五部書は,室町時代以降吉田神道,垂加神道などの神道家に尊重されたが,各書の間には思想的に一致しない部分もあり,神祇の伝承と密教,さらに中国の古典の所説等を習合して反仏教的な立場を主張しようとする論理には,とらえにくいところが少なくない。…
※「吉見幸和」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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