20世紀日本人名事典 「吉田 一穂」の解説
吉田 一穂
ヨシダ イッスイ
大正・昭和期の詩人
- 生年
- 明治31(1898)年8月15日
- 没年
- 昭和48(1973)年3月1日
- 出生地
- 北海道上磯郡釜谷村(現・木古内町)
- 出身地
- 北海道古平郡古平町
- 本名
- 吉田 由雄
- 学歴〔年〕
- 早稲田大学文学部英文科〔大正9年〕中退
- 経歴
- 中学時代に文学を志し、早大在学中、同人雑誌に発表した短歌が片上伸に認められる。大学中退後、生活のために童話や童謡を多く書き、大正13年童話集「海の人形」を刊行。その一方で「日本詩人」などに詩や詩論を書き、15年第一詩集「海の聖母」を刊行。北原白秋に認められ、白秋主幹の「近代風景」に詩や評論を発表。また春山行夫らの「詩と詩人」同人となり、昭和初期の現代詩確立に寄与した。昭和7年「新詩論」を創刊。戦争中の15年から19年にかけて信生堂に絵本の編集長として勤務、この間「ぎんがのさかな」などの童話集や絵本を刊行。戦後は「未来者」など3冊の詩集と詩論集「黒潮回帰」を刊行する一方「Critic」「反世界」を創刊したり、早大、札幌大谷女子短大で詩学の集中講義をして、孤高の立場から純粋詩を守った。東洋のマラルメを自称し、自ら戒名“白林虚籟居士”とつけた。他に長篇詩「白鳥」、詩集「故園の書」「稗子伝」、「定本吉田一穂全集」(全3巻 小沢書店)などがある。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報