合成
ゴウセイ
synthesis
本来は減成(degradation)に対応して,有機化合物の炭素数を増やして目的の構造を構築することを意味する.有機化学分野では,“有用な物質を,できるだけ安価な原料から,簡便な手段で合成する方法(効率がよく,選択性の高い反応や官能基の保護法など)”の研究開発に努力が払われ,新薬,新材料など種々の合成品が市販されている.複雑な構造をもつ天然有機化合物でも,多段階反応を用いれば合成可能になっており,“全合成”とよばれている.また,光化学エネルギーを利用した合成は“光合成”,酵素や生物を利用した合成は“生合成”,生体内合成機構と類似の経路による合成は“バイオミメティックな合成”(biomimetic synthesis)とよばれる.無機化学分野では,従来,“製法”という言葉が使われてきたが,人造宝石(ルビー,ダイヤモンド,サファイアなど)の製造などに対して,合成という言葉が用いられるようになってきている.とくに有機合成に関しては,光学活性物質の立体特異的な不斉合成や糖タンパク質,複合脂質などの複雑な高分子構造をもつ物質の酵素類を用いた合成に進展していくものとみられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
ごう‐せい ガフ‥【合成】
〘名〙
① 二つ以上のものが結合して一つになること。また、一つに合わせること。
※続日本紀‐霊亀二年(716)五月庚寅「今故併二兼数寺一、合二成一区一」
② 二つ以上の
元素や
化合物が
化学反応によって一つの新しい物質になること。また、物質をつくること。
※小学読本(1873)〈田中義廉〉四「二種以上の分子より、成りたるものあり、これを、合成のものといふ、水、空気、海塩、砂糖の類なり」
③ 二つ以上のベクトルを加えて、一つのベクトルを得ること。
④ 二つ以上の振動の
波形を加え合わせて一つの波形にすること。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕
ごう‐じょう ガフジャウ【合成】
※浄業和讚(995‐1335)中「四辺の階道ことごとく
金銀瑠璃を合成
(がふじゃう)し うへに楼閣かさなりて みなまた七宝まじへたり」 〔
阿彌陀経〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
合成
ごうせい
synthesis
2つあるいは2つ以上の元素の化合により新物質をつくること,または比較的簡単な化合物から化学反応により,より複雑な化合物をつくることを合成という。その反応が実験室や工場の化学容器の中で,生物と関係なく行われるときは,化学合成または単に合成という。これに対し,反応が生体内あるいは生体や酵素の関与によって行われるときは,生合成という。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
デジタル大辞泉
「合成」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
合成
単純な物質,例えば低分子化合物から複雑な物質,例えば高分子化合物を作ることを一般的に合成という.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
世界大百科事典内の合成の言及
【語形成】より
…通例3種に分ける。(1)複合(合成ともいう) 従来存在していた2単語以上を結合して新語を作ること。たとえばblack bird(黒い鳥)は2語であるが,blackbird(ムクドリ)は1語であって複合である。…
※「合成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報