合成抗菌剤(読み)ゴウゼイコウキンザイ

デジタル大辞泉 「合成抗菌剤」の意味・読み・例文・類語

ごうぜい‐こうきんざい〔ガフセイカウキンザイ〕【合成抗菌剤】

細菌増殖を阻害する作用をもつ、化学的に合成された薬剤合成抗菌薬

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「合成抗菌剤」の解説

合成抗菌剤

合成抗菌剤とは


 人工的な化学物質を合成してつくった、細菌に有効な薬を合成抗菌剤といいます。


サルファ剤


 細菌は葉酸ようさんという物質をつくり、それを材料にして増殖しています。サルファ剤は、この葉酸に似た化学構造をしていて、サルファ剤を使用すると、細菌は葉酸とまちがえてサルファ剤をとり込んでしまい、増殖できずに死滅します。


 かつては抗生物質と並ぶ感染症治療の主役でしたが、サルファ剤が効かない耐性菌たいせいきん(サルファ剤に対して順応してしまい、効かなくなってしまった細菌)が増えてきたこと、過敏症状をおこす人がいること、腎結石じんけっせきなどの尿路結石が発生しやすいこと、より強力で安全性の高い化学療法剤が登場していることなどの理由から、かつてほどには使われなくなりました。


 しかし、尿路感染症をおこす細菌には有効なことが多く、現在でも軽症の尿路感染症、一部の原虫症げんちゅうしょうの治療剤として、また、ほかの薬と併用して抗菌力を強くする必要のある場合などに使用されています。


抗結核剤


 結核をおこす結核菌発育や、増殖を阻害する作用がある薬を抗結核剤といいます。かつては、パス、ストレプトマイシンイソニアジドなどの薬が抗結核剤の主役で、検査で結核菌が見つからなくなる(菌の陰性化)までに2~5年を要することが多かったのですが、リファンピシン製剤、エタンブトール塩酸塩製剤という抗結核剤が登場して以来、半年から1年ぐらいで菌が陰性化するようになりました。


キノロン系ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤


 細菌が増殖するためには蛋白質たんぱくしつが必要ですが、ピリドンカルボン酸系の薬は蛋白質の元になる核酸がつくられるのを阻害し、細菌を死滅させる作用があると考えられています。


 その効力は強力で、副作用が少なく、長期間使用しても効力が低下しないなどの長所があるため、内服で用いられる合成抗菌剤の25%はピリドンカルボン酸系の薬です。


その他キノロン系合成抗菌剤


 ナリジクス酸製剤、ピペミド酸水和物製剤などがあり、おもに尿路・腸管などの細菌感染症に用いられます。


サルファ剤


抗結核剤


ハンセン病治療剤


キノロン系合成抗菌剤


その他のキノロン系合成抗菌剤


オキサゾリジノン系合成抗菌剤


抗酸菌症治療剤

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栄養・生化学辞典 「合成抗菌剤」の解説

合成抗菌剤

 化学的に合成され,微生物の増殖を阻止したり殺菌作用のある物質.一般に家畜家禽に用いられる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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