合区(読み)ゴウク

デジタル大辞泉 「合区」の意味・読み・例文・類語

ごう‐く〔ガフ‐〕【合区】

[名](スル)公職選挙で、隣接する市町村都道府県を合わせて一つの選挙区にすること。
[補説]公職選挙法規定により、地方議会選挙区で人口が議員一人当たりの人口の半分に満たない場合、隣接する選挙区と合わせて一つの選挙区を設けなければならない(強制合区)。また、選挙区の人口が議員一人当たりの人口の半分以上であっても、議員一人あたりの人口に達しない場合は、隣接する他の市町村と併せて選挙区を設けることができる(任意合区)。国政選挙では、参議院選挙1票の格差を是正するため、平成27年(2015)に公職選挙法が改正され、鳥取県島根県、および徳島県と高知県がそれぞれ一つの選挙区となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「合区」の意味・わかりやすい解説

合区
ごうく

選挙区において二つ以上の地域を統合し、一つにまとめること。国会議員などの選挙制度においては、これまで都道府県単位で分けられていた選挙区を、人口が少ない、隣接している都道府県を一つの選挙区として統合し、新たな一選挙区にすることをいう。2013年(平成25)に行われた参議院議員選挙では、一票格差が最大4.77倍に達し、2014年の最高裁判所の判決で「違憲状態」とされた。こうした一票の格差を是正する目的で、2016年夏に行われる参議院議員選挙において、鳥取島根、徳島と高知の各県選挙区で合区を実施する改正公職選挙法が、2015年7月に成立した。参議院において都道府県単位の選挙区が改められるのは、1947年(昭和22)に参議院議員選挙が行われるようになってから、初めてのことである。

 この改正により、2013年の選挙で各県2人であった定数を、鳥取と島根、徳島と高知それぞれを2県にまたがる合区とし、各選挙区は2人区となる。また、宮城、新潟、長野の各県で、それまでの定数4が2に減る一方、北海道、東京、愛知、兵庫、福岡の五つの都道県では、定数をそれぞれ2増やす措置がとられる。結果として参議院議員の定数は10増10減となり、一票の格差は最大2.97倍に抑えられることになる。

 合区とされる4県では、選挙に関する事務などで変更が求められる。たとえば、選挙運動関連では、選挙事務所は2か所、選挙カーは2台、新聞広告は10回、無料で選挙区内を移動できる特殊乗車券の交付は30枚になるなど、それぞれ従来の2倍の割当てが必要とされることがあげられる。また、2県で一つの選挙区を構成するため、それぞれの県の選挙管理委員会が共同で規約を定める必要がある。2016年の参議院議員選挙では、合区に合同選挙区選挙管理委員会を発足させて選挙長一人を選び、さらに、各県に設置される選挙管理委員会それぞれに選挙分会長を置くことになっている。

[編集部]

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知恵蔵mini 「合区」の解説

合区

別々になっていた区をまとめること。政治においては、選挙区を統合することを指す。2013年に行われた参議院選挙で最大格差が4.77倍あった1票の格差是正のため、かねてより参院選の選挙制度改革が進められてきたが、この改正案に合区の実施が含まれている。参院自民党が提案した合区を含む10増10減案を維新の党など野党4党に提案していたが、15年7月9日、野党がこれを受け入れることを決定。これにより公職選挙法改正案が成立する見通しとなり、16年夏に行われる参議院選挙から適用される予定。合区されるのは鳥取と島根、徳島と高知で、隣り合った2県が同一の選挙区となり、定数を合計で4減らす。これによって1票の格差は最大でも2.974倍となる。

(2015-7-13)

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