各務鉱三(読み)かがみこうぞう

改訂新版 世界大百科事典 「各務鉱三」の意味・わかりやすい解説

各務鉱三 (かがみこうぞう)
生没年:1896-1985(明治29-昭和60)

ガラス工芸家。岐阜県土岐郡に生まれる。1915年東京高等工業学校を卒業後,満鉄中央試験所で窯業研究従事,のちガラスの研究をはじめ,27年ドイツ留学。国立シュトゥットガルト工芸学校で,ウィルヘルム・フォン・アイフに師事する。29年帰国し,東京滝野川にアトリエを開く。厚手のクリスタルガラスにグラビュールやカットを施した食器や工芸作品を発表し,帝展などで受賞を重ねた。34年,各務クリスタル製作所を設立後継者育成につとめ,多くのガラス工芸家を世に送った。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「各務鉱三」の意味・わかりやすい解説

各務鉱三
かがみこうぞう
(1896―1985)

ガラス工芸作家。岐阜県生まれ。東京高等工芸学校を卒業して1920年(大正9)に入所した満鉄窯業試験所時代に早くもガラス工芸に手を染め、27年(昭和2)には同試験所よりドイツの国立シュトゥットガルト美術工芸学校に留学してクリスタルガラスを研究し、カット・グラベールなどの加飾技術を習得した。31年の帝展第12回展に「カットグラス花瓶」を出品して世間の注目を集め、以後一貫してクリスタルの透明なガラス美の醸成に努め、近代的なガラス工芸のジャンルを定着させる立役者となった。

 一方、各務クリスタル製作所を開設して後継者の育成にも尽力し、1960年(昭和35)に芸術院賞を受賞した。

[矢部良明]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「各務鉱三」の解説

各務鉱三 かがみ-こうぞう

1896-1985 昭和時代のガラス工芸家。
明治29年3月7日生まれ。満鉄付属中央試験所にはいる。ドイツに留学し,クリスタルガラスを研究。第12回帝展に「カットグラス花瓶」が初入選。昭和9年各務クリスタル製作所を設立。一貫してクリスタルの透明なガラス美を追求した。35年芸術院賞。昭和60年12月3日死去。89歳。岐阜県出身。東京高工(現東京工業大)卒。

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百科事典マイペディア 「各務鉱三」の意味・わかりやすい解説

各務鉱三【かがみこうぞう】

ガラス工芸家。岐阜県生れ。東京高等工業学校選科卒業後,満鉄窯業試験所に勤務,その後ドイツに留学。1934年各務クリスタル製作所を設立,ガラス工芸の発展に尽力。クリスタルガラスを用いた端正な作品が多い。

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