只今(読み)タダイマ

デジタル大辞泉 「只今」の意味・読み・例文・類語

ただ‐いま【×只今/唯今】

[名]
今この時。現在。「―の時刻は午前九時です」「―用意しています」
ごく近い過去。ほんの少し前。今しがた。「―の報告異議がある」「―帰ってきたところです」
ごく近い未来。すぐ。じき。「―お持ちします」
[感]帰宅のときのあいさつの語。「只今帰りました」の略。「『―』『お帰りなさい』」
[類語]現在目下今日きょう日当世現下時下現時点現時刻下即今そっこん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「只今」の意味・読み・例文・類語

ただ‐いま【只今】

[1] 〘名〙 (「いま」を強調した語。副詞的にも用いる)
① 過去と未来との境になる時。現在。目下。時間的な幅はさまざまで来世に対比した現世をいう場合もある。
蜻蛉(974頃)上「日々に問ふめれど、ただいまは何心もなきに」
今昔(1120頃か)四「只今は賢き様なれども、後の世には露許も益を得る事无ければ」
② ごく近い過去の時、過ぎ去ったばかりの時や物事をさしていう。たった今。つい今しがた。
源氏(1001‐14頃)末摘花「たち退(の)きて、ただいまおはするやうにて、うちたたき給ふ」
※説経節・説経苅萱(1631)下「たたいまおもひだいたるふぜひにて」
③ ごく近い未来の時。また、ある時点からの、ごく短い時間の経過をさしていう。特に副詞的に用いることが多い。すぐ。すぐさま。すぐその時。
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「長報へて云はく、適(タタイマ)公の為に一の小羊を殺さ欲(むとす)
※枕(10C終)九「この翁丸うちてうじて、犬島へつかはせ。ただいま、と仰せらるれば」
④ (③から転じて) 距離的に近いさまをいう。すぐそこ。
読本春雨物語(1808)樊噲下「うかれて嶋二つただよひたり。又此岸よりもただ今と見るを」
[2] 〘感動〙
① (「ただいま帰りました」の略) 出先からもどったときなどの挨拶(あいさつ)ことば
洒落本・妓娼子(1818‐30)上「はきものを見てかたわきのほうから上り『只今おやばからしうざいますわな、どこからお客だと思ったよ』」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「ハイ只今、大層遅かったらうネ」
② 呼ばれたり、頼まれたりしたときなどに、いますぐ実行するという意でいう挨拶のことば。
腕くらべ(1916‐17)〈永井荷風〉一五「『それよりかお酒を願いませう』『只今。畏りました』」

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普及版 字通 「只今」の読み・字形・画数・意味

【只今】しこん

ただいま。現在。唐・李白〔越台覧古〕詩 只今惟だ西江のみ在り 曾(かつ)て照らす、王宮裏の人

字通「只」の項目を見る

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