古衣(読み)ふるごろも

精選版 日本国語大辞典 「古衣」の意味・読み・例文・類語

ふる‐ごろも【古衣】

(「ふるころも」とも)
[1] 〘名〙 古い衣服。着ふるした衣。
万葉(8C後)一一・二六二六「古衣(ふるころも)打棄(うつつ)る人は秋風の立ち来る時にもの思ふものそ」
[2] 古い衣類をほどき、その布をまた打ちかえして柔らかくして作りなおす意で、「また打ち」の変化した「まつち」と同音地名真土(まつち)山」にかかる。
※万葉(8C後)六・一〇一九「大君の 命恐(かしこ)み 天離る 夷辺(ひなへ)にまかる 古衣(ふるころも) 又打山(まつちやま)より 還り来ぬかも」

ふる‐ぎぬ【古衣】

〘名〙
落窪(10C後)一「白き袷一つをこそ著てゐたりつれ子どものふるぎぬやある」
② (古い布地を裂いて用いるところから) =さきおり(裂織)

こ‐い【古衣】

〘名〙 古い着物。着古した衣類。
江戸繁昌記(1832‐36)初「旧衣肆店、経緯櫛比し、路を夾んで席を連ね、古衣旧帯、毎朝新たに陳ぶ」 〔古楽府‐艷歌行〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「古衣」の意味・読み・例文・類語

ふる‐ごろも【古衣】

《「ふるころも」とも》
[名]着古した衣服。古着。ふるぎぬ。
「―打棄うちつる人は秋風の立ち来る時に物思ふものそ」〈・二六二六〉
[枕]きぬたでまた打つものであるところから、「また打ち」の音変化「まつち」と同音の地名「まつち山」にかかる。
「―真土山まつちやまより帰り来ぬかも」〈・一〇一九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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