古在由重(読み)こざいよししげ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「古在由重」の意味・わかりやすい解説

古在由重
こざいよししげ
(1901―1990)

哲学者。東京生まれ。古在由直と妻豊子(清水紫琴(しみずしきん))の子。東京帝国大学哲学科卒業。1935年(昭和10)から唯物論研究会の活動に参加し、『唯物論通史』『初期唯物論の形成』(ともに1936)、『現代哲学』(1937)を発表して、日本のマルクス主義哲学の確立・発展に大きく寄与した。日本共産党に協力し、1933年と1938年の2回、治安維持法によって検挙・投獄された。第二次世界大戦後、民科(民主主義科学者協会)哲学部会の活動に参加し、のち名古屋大学教授。1970年代からベトナム人民支援運動、原水爆禁止運動で指導的役割を果たした。その哲学の特徴として、時代の実践的課題との格闘、日本思想の進歩的伝統の継承ヒューマニズムなどがあげられる。著書に『人間讃歌(さんか)』(1974)、『和魂(わこん)論ノート』(1984)などがある。

芝田進午 2016年8月19日]

『『古在由重著作集』全6巻(1965~1975・勁草書房)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「古在由重」の解説

古在由重 こざい-よししげ

1901-1990 昭和時代の哲学者。
明治34年5月17日生まれ。父は古在由直,母は清水紫琴(しきん)。昭和7年戸坂潤らと唯物論研究会を設立。治安維持法で2度検挙される。戦後は民主主義科学者協会哲学部会の中心メンバーとなる。原水爆禁止運動や平和運動でも知られる。34年名大教授。平成2年3月6日死去。88歳。東京出身。東京帝大卒。著作に「現代哲学」「和魂論ノート」など。

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