古今役者大全(読み)ここんやくしゃたいぜん

改訂新版 世界大百科事典 「古今役者大全」の意味・わかりやすい解説

古今役者大全 (ここんやくしゃたいぜん)

歌舞伎の解説書。中心となった作者は多田南嶺撰者として八文字屋其笑八文字屋瑞笑の名が記される。1750年(寛延3)刊,6巻6冊。芝居起源,劇場習俗の由来,著名役者の評伝芸談,師弟系図などを記す。従来,劇評の書〈役者評判記〉が,年に一度の出版が普通であったのに対し,10年をサイクルに劇評の基準を示し,歌舞伎一般の知識をも提供しようとした書。出版元の八文字屋に蓄積された芝居資料と作者の博識によって成った本書は,いわゆる劇書の嚆矢(こうし)であり,江戸後期70年以上にわたって版を重ねている。以後この種の出版物が多数刊行され,歌舞伎出版物に一つのジャンルを開くことになった。《日本庶民文化史料集成》第6巻に収録。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android