精選版 日本国語大辞典 「反」の意味・読み・例文・類語
そり【反】
〘名〙 (動詞「そる(反)」の連用形の名詞化)
① そること。曲がりかえること。また、その度合や様子。
※太平記(14C後)一六「敵太刀を捨て、腰刀を抜んと、一反(ソ)り反りけるが」
② 刀や長刀などの峰のそっている部分。また、その度合や様子。
※梅津政景日記‐慶長一七年(1612)一〇月一〇日「かたなのそりをなをし候」
※二度本金葉(1124‐25)雑上「あづさ弓さこそはそりの高からめはるほどもなくかへるべしやは〈藤原時房〉」
④ 逆にねじかえすこと。さかねじ。
⑤ 人の性質、世の気風などの向き。性向。
⑥ =そりて(反手)
※信長記(1622)三「鴨の入頸、みづくるま、そり、捻なげなんどいふ手を、我をとらじと取りしかば」
⑦ 休耕中の焼畑地。五、六年穀物を作った焼畑は以後七、八年から一〇年以上も放置しておいて、地力の回復を待って焼いて焼畑地とする。そらしばた。
はん‐・する【反】
〘自サ変〙 はん・す 〘自サ変〙
① うらはらになる。反対になる。
② 決められた約束や規則、他の意見などにそむく。もとる。違反する。
③ 敵対する。謀叛(むほん)をおこす。叛する。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)魏田韓第三「一旦反すれども、又まいりてわび事を申せば御免あるぞ」
④ かえりみる。反省する。
※清原国賢書写本荘子抄(1530)一〇「百家の学、今より以後、迷て反することを知らず」
そ・る【反】
〘自ラ五(四)〙
① まっすぐなものがしなって曲がる。
(イ) 人が、背中を後ろへ曲げる。のけぞる。のけざまになる。特に驚くさまにいうことがある。
※太平記(14C後)一六「腰の刀を抜んと、一反(ひとそ)り反(ソ)りけるが、真倒(まっさかさま)に成て落にけり」
(ロ) 細長いものが弓なりに曲がる。曲がり返る。
※五社百首(1190)「うら山し安達の峰のそりま弓そりはてましを引かへしけむ」
② (後ろへそる表情からか) 驚いたり、あきれたりする。心が動揺する。
はん【反】
[1] 〘名〙
※万葉(8C後)一六・三八一七「かる臼は田廬のもとに吾が背子はにふぶに咲(ゑ)みて立ちませり見ゆ(田廬者多夫世反)」
[2] 〘接頭〙 名詞に付いて、それと逆である、それに対立する、それにそむくなどの意を表わす。「反作用」「反社会的」「反政府」など。
せ・る【反】
〘自ラ四〙 「そる(反)」の上代東国方言。
※万葉(8C後)一四・三四三七「陸奥(みちのく)の安太多良(あだたら)真弓(まゆみ)弾(はじ)き置きて西良(セラ)しめきなば弦(つら)着(は)かめかも」
[補注]「万葉」例は一説に、「競(せ)る」の意ともいう。
そら・す【反】
〘他サ五(四)〙 (「そらす(逸)」と同語源) 後方へ曲げる。そるようにする。
※枕(10C終)二七八「明順の朝臣の心地、空を仰ぎ、胸をそらいたり」
はん‐・す【反】
〘自サ変〙 ⇒はんする(反)
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