参・進(読み)まいらす

精選版 日本国語大辞典 「参・進」の意味・読み・例文・類語

まいら‐・す まゐら‥【参・進】

〘他サ下二〙 (四段活用動詞「まいる(参)(二)(一)」に、使役助動詞「す」の付いた「さし上げさせる」「奉仕させる」の意の「まいらす」が、その使役される者を表に出さないで、「さし上げる」動作そのものを表わすように変化して一語化したもの)
[一]
① 上位者へ物などをすすめる意の謙譲語で、その動作の対象を敬う。さし上げる。献上する。
※竹取(9C末‐10C初)「人々引き具して帰り参て〈略〉薬の壺に御文そへてまいらす」
② ある動作をする意の謙譲語で、その動作の対象を敬う。してさし上げる。奉仕する。また、用意申し上げる。
※枕(10C終)一〇四「みぐしあげまゐりて、蔵人ども、御まかなひの髪あげてまゐらするほどは」
[二] 補助動詞として用いる。他の動詞の連用形に付いて、その動作の及ぶ対象を敬う謙譲表現を作る。…し申し上げる。
※平松家本平家(13C前)九「如何にもして永らへて、御行末を見進らせよと仰せられて」
[語誌](1)(二)の補助動詞としての用法は、院政時代から「聞こゆ」「奉る」に代わって盛んになった。室町時代には「まらする」「まいする」の形を生じて、謙譲語・丁寧語に用いられたが、あらたまった場面などの謙譲語としては「まいらする」も使用された。→まらする
(2)「まゐらせさせ給ふ」「まゐらせさせおはします」などのように「まゐらす」に尊敬の助動詞「さす」の付いたものがマイラッサスと変化し、この促音が表記されないでマイラサスの形になっているものがある。「讚岐典侍日記‐上」の「苦しうせさせ給へば申しつるぞ。その足とらへ参らさせ給へ」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android