原子力安全基盤機構(読み)ゲンシリョクアンゼンキバンキコウ

デジタル大辞泉 「原子力安全基盤機構」の意味・読み・例文・類語

げんしりょくあんぜんきばん‐きこう【原子力安全基盤機構】

原子力発電所核燃料サイクル施設などの原子力施設の安全確保に関する専門的・基盤的な業務を、原子力規制委員会と連携して行う経済産業省所管独立行政法人。平成15年(2003)発足。平成26年(2014)3月原子力規制庁に統合された。JNESジェーネス(Japan Nuclear Energy Safety Organization)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「原子力安全基盤機構」の意味・わかりやすい解説

原子力安全基盤機構
げんしりょくあんぜんきばんきこう

原子力施設・原子炉施設に関する検査、設計に関する安全性の解析、評価等を行った独立行政法人。英語名はJapan Nuclear Energy Safety Organization、略称JNES(ジェイネス)。独立行政法人原子力安全基盤機構法(平成14年法律第179号)に基づいて2003年(平成15)設立当初は経済産業省が所管していたが、環境省の外局である原子力規制委員会が発足した2012年以降は同委員会が所管。2014年3月に廃止され、原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁に統合された。本部は東京都港区虎ノ門、ほか核燃料サイクル施設検査本部(青森県六ヶ所村)、福井事務所(福井県敦賀(つるが)市)があった。

 2002年に閣議決定された「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」のなかで、「これまで委託等により実施していた、国が行うべき原子力安全行政事務については、独立行政法人を設置し、国の原子力安全行政部門の事務の一部およびこれに関連する公益法人への委託実施事務を当該独立行政法人に移管して実施する」とされたことを受けて、経済産業省原子力安全・保安院の検査業務の一部、原子力発電技術機構(1992年創設)・発電設備技術検査協会(1970年創立)・原子力安全技術センター(1980年創設)それぞれへ委託していた業務の一部を移管し、2003年10月、原子力安全基盤機構が設立された。

 原子力安全基盤機構は、原子力施設および原子炉施設に関する検査等を行うとともに、原子力施設および原子炉施設の設計に関する安全性の解析および評価等を行うことにより、エネルギーとしての利用に関する原子力の安全確保のための基盤整備を図ることを目的とした。おもな業務は以下の通りであった。(1)原子力施設および原子炉施設に関する検査その他これに類する業務、(2)原子力施設および原子炉施設の設計に関する安全性の解析および評価、(3)原子力災害の予防、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然(がいぜん)性を含む)の拡大の防止および原子力災害の復旧に関する業務、(4)エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関する調査、試験、研究および研修、(5)エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関する情報の収集整理および提供など。

 2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故にあたっては専門チームを設置し、事象の進展予測や技術的支援を行い、またオフサイトセンターに職員・操作員など20人以上を派遣してその運営支援を行った。しかし、その後、関西電力大飯(おおい)発電所での定期検査の一部が未実施であったことが発覚し、第三者委員会が設置されるなど、検査のありかたに対する問題が指摘されていた。2012年原子力規制委員会が発足したのに伴い、経済産業省から同委員会に所管変更。2014年原子力規制庁に統合され、廃止された。

[編集部]

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