厚岸霧多布昆布森国定公園(読み)アッケシキリタップコンブモリコクテイコウエン

デジタル大辞泉 の解説

あっけしきりたっぷこんぶもり‐こくていこうえん〔‐コクテイコウヱン〕【厚岸霧多布昆布森国定公園】

北海道南東部にある、別寒辺牛湿原霧多布湿原厚岸湖などからなる国定公園。太平洋に面する海岸には、大規模な海食崖がつづく。令和3年(2021)指定

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

厚岸霧多布昆布森国定公園
あっけしきりたっぷこんぶもりこくていこうえん

北海道東部、太平洋側にある国定公園。2021年(令和3)に指定された。厚岸町、浜中町、釧路(くしろ)町、標茶(しべちゃ)町の4町にまたがり、総面積は414.87平方キロメートル(陸域325.66平方キロメートル、海域89.21平方キロメートル)。厚岸道立自然公園指定区域(面積215.23平方キロメートル)に、沖合1キロメートルの海洋域、別寒辺牛(べかんべうし)湿原(厚岸町、標茶町)、幌戸(ほろと)沼(浜中町)などが加えられ成立した。

 形成過程の異なる二つの湿原、海岸線の後退砂丘堆積(たいせき)による霧多布湿原と河岸の湛水(たんすい)による別寒辺牛湿原が、ほぼ原生的な状態で残されているほか、原生花園あやめヶ原、厚岸湖や火散布(ひちりっぷ)沼などの海跡湖、昆布森から尻羽(しれぱ)岬、愛冠(あいかっぷ)岬から琵琶瀬(びわせ)に至る沿岸海岸段丘と海食崖(かいしょくがい)や大黒(だいこく)島、嶮暮帰(けんぼっき)島など大小の島々、奇岩があり、地形・景観は変化に富んでいる。

 こうした地形を反映して多様な動植物が生息・生育している。動物では、キタキツネエゾユキウサギヒグマエゾシカなどの野生動物や、湿原区域に特別天然記念物のタンチョウが生息し、厚岸湖などの湖沼に天然記念物のマガンヒシクイなどの渡り鳥が渡来する。このため、厚岸湖、別寒辺牛湿原、霧多布湿原および火散布沼・藻散布(もちりっぷ)沼周辺は国の鳥獣保護区に指定されている。このほか、大黒島はゼニガタアザラシの生息地、コシジロウミツバメ、エトピリカの繁殖地であり、島の南西部は国の天然記念物、全島が鳥獣保護区となっている。植物では、湿原・湖沼周辺に湿原植生が発達しており、開花期にはサワギキョウやエゾリンドウなどの多数の花々が見られる。なかでも、湿原中心部にミズゴケを主体とする高層湿原が形成されており、学術的に貴重な霧多布湿原は国の天然記念物。このほか、厚岸湖はアッケシソウの発見地としても知られている。なお、厚岸湖・別寒辺牛湿原と霧多布湿原、火散布沼、藻散布沼はともに1993年(平成5)にラムサール条約の登録湿地となっている。

[編集部 2022年9月21日]

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