卵巣過剰刺激症候群(読み)ランソウカジョウシゲキショウコウグン

デジタル大辞泉 「卵巣過剰刺激症候群」の意味・読み・例文・類語

らんそうかじょうしげき‐しょうこうぐん〔ランサウクワジヨウシゲキシヤウコウオグン〕【卵巣過剰刺激症候群】

オー‐エッチ‐エス‐エス(OHSS)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

六訂版 家庭医学大全科 「卵巣過剰刺激症候群」の解説

卵巣過剰刺激症候群
(女性の病気と妊娠・出産)

 排卵誘発剤を使用することにより、多数の卵胞が大きく発育して卵巣が腫大し、腹水貯留などを来す状態です。重症の場合は、腹部膨満感、腹痛脱水症状、胸水貯留を伴い、血液が固まりやすくなる等の凝固系異常を起こすようになります。また、腫大した卵巣が捻転(ねんてん)を起こすこともあります。体外受精だけでなく、不妊治療に際して排卵誘発剤を使用する際の重篤な合併症のひとつです。

 予防は、排卵誘発剤を使用しないことですが、不妊治療を行ううえで注射薬の排卵誘発剤(ゴナドトロピン製剤)が必要な場合は、投与中に慎重な管理を行います。最近は自己注射可能な排卵誘発剤が承認されたこともあり、定期的な卵胞発育のチェックが必要です。

 治療は、過度な腹水が貯留している場合は、入院して安静と補液を行います。さらに蛋白質(たんぱくしつ)補給が必要となる場合もあります。水分が血管内から腹水へ移動することから、血液は濃縮状態となっており、血栓症や賢不全などの重篤な状態になることもあります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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