占有の訴え(読み)せんゆうのうったえ

精選版 日本国語大辞典 「占有の訴え」の意味・読み・例文・類語

せんゆう【占有】 の 訴(うった)

占有権維持・保護するために、占有者の提起する訴え。占有回収の訴え、占有保持の訴え、占有保全の訴えの三つがある。
民法(明治二九年)(1896)二〇二条「占有の訴は本権の訴と互に相妨ぐることなし」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「占有の訴え」の意味・わかりやすい解説

占有の訴え
せんゆうのうったえ

占有が他人によって侵害された場合に、占有者がその侵害の排除を請求する訴え(民法197条~202条)。占有を奪われたとき(たとえば泥棒に占有する物をとられた場合)その物の返還を請求する占有回収の訴え、占有は奪われないが妨害されたとき(たとえば、占有する土地産業廃棄物を不法投棄された場合)にその排除を請求する占有保持の訴え、占有を妨害されるおそれがあるとき(たとえば、隣地の壁が崩落寸前の場合)に妨害予防の手段を講じることを請求する占有保全の訴えの3種がある。これらの訴えは、占有を奪われたときや、妨害が消滅した後1年以内に提起されなければならない。ただし、妨害や危険が現に存在する間は、占有保持または占有保全の訴えを提起することができる(同法201条)。

[高橋康之・野澤正充]

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世界大百科事典(旧版)内の占有の訴えの言及

【占有】より


[占有の効力]
 法が占有に与える効力としては,(1)占有訴権(197条以下。〈占有の訴え〉ともいう),(2)時効取得(162条),(3)即時取得(192条),(4)動産取引における公示力(対抗要件。178条,182~184条)などがある。…

※「占有の訴え」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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