日本大百科全書(ニッポニカ) 「博士(学位)」の意味・わかりやすい解説
博士(学位)
はくし
最高位の学位の一種。中世ボローニャ大学で授与された教授資格のドクターDoctorが嚆矢(こうし)となっている。今日、欧米諸国では、学術理論研究および専門職業・実践教育の最高の学位および資格である。アメリカでは学術理論中心の研究に哲学博士Ph.D.(Doctor of Philosophy)が、専門実践研究にはそれぞれの専門分野の第一専門学位または各種専門職業分野の博士が授与されている。
日本では博士(はかせ)ということばが、大宝律令(たいほうりつりょう)(701)によって大学寮の教官の官職名に用いられたが、学位・称号の性格をもたなかった。1873年(明治6)の「学制」の改定で、博士(はくし)が学士および得業士とともに学位とされ、1920年(大正9)の学位令により、博士は唯一の旧制の学位となった。現行の学位制度では、大学改革支援・学位授与機構が定めるところにより、大学院博士課程の5年以上の課程修了者または修業年限5年の博士課程の後期3年以上の課程修了者で、当該大学院の行う博士論文の審査および試験に合格した者、または博士課程を修了した者と同等以上の学力を有する者で論文審査に合格した者に博士号が授与される。なお現代も、博士(はかせ)と呼称することがある。
[金子忠史]