普及版 字通 「単(漢字)」の読み・字形・画数・意味
単
常用漢字 9画
(旧字)單
人名用漢字 12画
[字訓] たて・ひとつ・つくす
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
楕円形の盾の形。上に二本の羽飾りをつけている。古くは軍事にも狩猟にも盾を用いたので、戰(戦)は單+戈(か)、狩の初文は獸(獣)で單+犬を要素としている。従って字の本義は、たて。ただその義に用いることがなく、戰・獸の字形によってそのことが知られるだけである。〔説文〕二上に「大なり」と訓し、字を「(けん)に從ひ、の亦聲」とするが声も合わず、字形をも説きえずして「闕(けつ)」という。また〔段注〕に「大言なり」の誤りとするが、その用義例はない。〔詩、大雅、公劉〕に「其の軍三單」とあり、一隊を単、三単を軍とする。もと軍事に関する語であったことが知られる。〔逸周書、大明武解〕「老單處す」の〔注〕に「單處とは、保無きを謂ふ」とあり、特に防衛の施設のないところで、大盾を並べて身を守るような状態をいうのであろう。〔越絶書、越絶呉内伝〕に「之れを單に致す。單とは(と)なり」とあることが注意される。それで単独・単一の意となる。
[訓義]
1. たて、大きなたて。
2. ひとつ、ひとえ、ひとり、うすい。
3. 大きい、大きいかたち。
4. すべて、つくす。
5. 亶(たん)と通じ、まこと、あつい、ただ。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕單衣 比止閉奴(ひとへきぬ) 〔名義抄〕單 ヒトヘニ・フルフ・スルツニ(ミ)・ヒトヘナリ・ヒトヘ・ウスシ・コトゴトク
[声系]
〔説文〕に單声として禪(禅)・殫・憚・戰・彈(弾)など二十七字を収める。禪(ぜん)と殫(たん)と両系の声がある。
[熟語]
単于▶・単閼▶・単衣▶・単位▶・単一▶・単影▶・単音▶・単家▶・単舸▶・単寡▶・単介▶・単寒▶・単款▶・単簡▶・単軌▶・単▶・単騎▶・単極▶・単均▶・単衾▶・単窶▶・単軍▶・単▶・単竭▶・単孑▶・単肩▶・単言▶・単孤▶・単鉤▶・単厚▶・単耗▶・単行▶・単轂▶・単衫▶・単糸▶・単師▶・単辞▶・単弱▶・単舟▶・単純▶・単処▶・単少▶・単身▶・単心▶・単尽▶・単数▶・単棲▶・単誠▶・単席▶・単▶・単率▶・単擡▶・単単▶・単艇▶・単伝▶・単刀▶・単特▶・単独▶・単破▶・単薄▶・単被▶・単微▶・単扉▶・単兵▶・単斃▶・単弁▶・単紡▶・単本▶・単名▶・単立▶・単▶・単露▶・単老▶
[下接語]
衣単・影単・簡単・形単・単・孤単・三単・食単・伝単・門単
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報