南部問題(読み)なんぶもんだい

世界大百科事典(旧版)内の南部問題の言及

【イタリア】より

…もちろん南部の風土条件が北西ヨーロッパ的近代農業の発展に適していないこと,寄生的大土地所有制が南部社会の近代化を妨げてきたという事情も無視することはできない。第2次大戦後,イタリア共和国政府は土地改革,南部への大規模な公共投資を行って,南部開発事業に本格的に取り組んできているが,南北の格差の拡大をなんとか抑えてはいるものの,南部問題は依然としてイタリア国家にとっての重要な問題として残っている。また,南部開発政策の実施にともなって,南部内部における限られた開発地域とその他の地域との間の格差も大きな問題になってきている。…

【メッツォジョルノ】より

…政府の善政に期待を寄せる古典的な南部主義の考えが現在の南部開発をめぐる議論のなかにも受け継がれているとすれば,他方では南部社会の内側に視点をすえて,そこで営まれる生活と文化の固有の姿に注目しようとする動向も強まってきており,南部論は今日もイタリア文化の中心テーマの一つであり続けている。【北原 敦】
【南部問題】
 1861年に政治的統一を達成したイタリアは,1896‐1907年には産業革命を経験し,近代国家としての姿容を確立した。しかし,急激な工業発展がみられたのは,地域的にみれば,北部とりわけロンバルディア,ピエモンテ,リグリアなどに限定され,それ以外の多くの地方では,封建的要素を多分に残した農業・土地制度が依然として支配的であった。…

※「南部問題」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」