南蹄類(読み)なんているい

改訂新版 世界大百科事典 「南蹄類」の意味・わかりやすい解説

南蹄類 (なんているい)

哺乳動物の分類群(目)Notoungulataで,第三紀の漸新世と中新世に南アメリカで繁栄していた絶滅有蹄類の1グループ。それより古い第三紀初期には,先祖型と思われるものがアジアや北アメリカにもいたことが知られるが,その後,南アメリカ大陸に孤立して独自の進化をとげた。ギリシア語で南の風または南の地域をさすnotosと蹄をもつものという意味のラテン語ungulaとから名づけられた。耳の骨の構造に特徴があり,ネズミ大からゾウ大までさまざまのものがいたが,臼歯の形態はネズミに似ている。滑距(かつきよ)類,雷獣類,火獣類,異蹄類とともに特異な南アメリカの有蹄類群をつくっているが,鮮新世に南北アメリカ両大陸がパナマ地峡の陸化によって接続し,旧大陸の進化した有蹄類が南アメリカ大陸に住みつくとともに更新世になって絶滅した。C.ダーウィンがビーグル号航海のときにパタゴニアで発見した大きな化石骨は更新世のトクソドンToxodonであり,巨大なサイのような南蹄類の動物であった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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