南極探検(読み)なんきょくたんけん(英語表記)Antarctic expeditions

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南極探検」の意味・わかりやすい解説

南極探検
なんきょくたんけん
Antarctic expeditions

18世紀後半から行なわれた南極における一連の探検。古代ギリシアの時代にすでに南極の存在は想像されていたが,ジェームズクックイギリス)が初めて南極圏を通過し,サウスサンドウィッチ諸島を発見した頃(1772~75)から本格的な探検がいくつかなされた。エドワード・ブランスフィールド(イギリス)はグレアムランド北西海岸を発見(1819~20)。ファビアン・ゴットリープ・フォンベリングスハウゼン(ロシア)は南緯70°付近に達し,ピーター1世島アレクサンダー島を発見した(1819~21)。クラーク(イギリス)はキングジョージ島で越冬(1820~21)。ジョン・ビスコー(イギリス)はエンダービーランド,アデレード島,ビスコー諸島,グレアムランド沿岸地方を発見(1830~32)。チャールズ・ウィルクス(アメリカ合衆国)はウィルクスランドを発見(1838~42)。ジェームズ・クラーク・ロス(イギリス)は初めてロス海に入り,サウスビクトリアランド(→ビクトリアランド),ロス島を発見(1839~43)。J.ロジャース(アメリカ)はハード島で越冬(1857~59)。その後,チャレンジャー号(イギリス)の海洋調査(1872~76),シュレーダー(ドイツ)のサウスジョージア越冬観測(1882~83),レオナルド・クリステンセン(ノルウェー)の南極大陸上陸などがあり,ロバート・ファルコン・スコット(イギリス)はビクトリアランド海岸とロス棚氷を調査(1901~04),アーネスト・ヘンリー・シャクルトン(イギリス)は南極高原に到達(1907~09)。ロアルド・アムンゼン(ノルウェー)は初めて南極点に到達(1911.12.14.)。スコットも南極点に到達(1912.1.17.)したが帰路に遭難。日本の白瀬矗もロス棚氷上に進出,大和雪原と命名した(1911~12)。リチャード・E.バード(アメリカ)はリトルアメリカに基地をつくり,航空機で南極上空を飛び,ロックフェラー山脈,マリーバードランドなどを発見(1928~30),さらに2次(1933~35),3次(1939~41),4次(1946~47)の探検を行ない,特に 4次は海軍参加の大規模なもので,ハイジャンプ作戦と呼ばれる。ノルウェー,イギリス,スウェーデンは 3国共同探検隊を編成し,人工地震によって氷床の厚さを測定した(1949~52)。ビビアン・フックス(イギリス)がエドモンド・ヒラリーニュージーランド)の協力を得て,初めて大陸横断に成功した(1958)。国際地球観測年(1957~58)を契機として科学的観測時代に入り,各国は永続的な基地を建設,日本も昭和基地(1957),みずほ基地(1970),あすか観測拠点(1985),ドームふじ(1995)の 4基地を設け,継続的に観測を行なっている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「南極探検」の解説

南極探検
なんきょくたんけん

18世紀末より行われ始めた南極大陸の探検
クックの南極圏周航(18世紀末)以来のアザラシ捕獲により,南極大陸の存在が確認された。19世紀半ば以降,冒険と学術調査の探検が盛んになり,1909年シャクルトン(イギリス)は南磁極を発見。1910年の白瀬中尉(日本)とともに,11年のアムンゼン(ノルウェー)と12年のF.スコット(イギリス)の先陣争いは有名。1929年のバード(アメリカ)の飛行機着陸と,第二次世界大戦後の石油・石炭・ウラニウム鉱資源確認は領土の帰属をめぐる対立を生んだが,59年の南極条約により,科学的調査を中心とする国際協力が実現した。1980年代からはバイオマス計画と呼ばれる生態系,生物資源に関する研究が行われている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「南極探検」の解説

南極探検(なんきょくたんけん)

南極海を周航したのはクック(ジェームズ)だったが,1821年アメリカのJ.デーヴィスが南極半島に初めて上陸。その後各国の探検が続いたが,1921年12月17日アムンセンが,22年1月17日スコットが南極点に到達した。ただしスコット隊は全滅した。30年代からは航空機を用いた探検が行われるようになり,57~58年には国際地球観測年の南極大陸調査が行われ,日本を含む12カ国が参加した。59年12月には南極条約が結ばれた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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