南木曽(町)(読み)なぎそ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南木曽(町)」の意味・わかりやすい解説

南木曽(町)
なぎそ

長野県南西部、木曽郡の町。1961年(昭和36)木曽川両岸の読書(よみかき)、吾妻(あづま)、田立(ただち)の3村が合併して成立。JR中央本線、国道19号(中山道(なかせんどう))、256号が通じる。木曽川とその支流蘭川(あららぎがわ)沿いに集落や耕地が分布するほかはほとんど国有林で、ヒノキが多い。県内では温暖地で、茶が栽培されているほどである。中心集落の三留野(みどの)は近世中山道の宿駅で、現在は木曽谷南部の国有林材の集散地をなし、小規模な商店街のほか木材工場がある。旧中山道に沿う妻籠(つまご)は近世の宿場の景観を復原し国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。北隣り、大桑村南端に築かれた読書ダムから取水して町内の読書発電所で発電するが、発電所施設は国の重要文化財。蘭川上流の漆畑(うるしばた)は県下唯一の木地屋(きじや)集落で、近江(おうみ)(滋賀県)の木地師の流れをくみ、ろくろで椀(わん)や盆などをつくる。蘭集落では木曽谷の伝統産業である檜笠(ひのきがさ)の生産が細々と続けられている。柿其(かきぞれ)渓谷や田立の滝(周辺中央アルプス国定公園指定)の景勝地円空仏を蔵する等覚寺などがあり、馬籠(まごめ)と妻籠を結ぶ自然歩道も整備されている。面積215.93平方キロメートル、人口3915(2020)。

[小林寛義]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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