精選版 日本国語大辞典 「南天」の意味・読み・例文・類語
なん‐てん【南天】
[1] 〘名〙
① (「なんでん」とも) 南の空。〔日葡辞書(1603‐04)〕 〔李白‐陪族叔曄及賈舎人至遊洞庭詩〕
② メギ科の常緑低木。中部以南の本州・四国・九州の山地渓間暖地に生え、庭木として栽植される。高さ約二メートル、葉は三回羽状複葉で茎の上部に集まってつき、葉柄の基部は茎を抱く。小葉は革質で卵状披針形。初夏、花茎をのばし、白い小さな六弁花を円錐状につける。果実は球形、ふつう赤く熟すが、白または黄色に熟すものもある。漢方では果実を、せき止め・強壮薬に用いる。漢名、南天竹・南天燭。
▼なんてんの実《季・冬》
▼なんてんの花《季・夏》 〔明応本節用集(1496)〕
③ 紋所の名。②を図案化したもの。三つ葉南天、丸に三つ葉南天、抱南天、南天菱、三つ割南天など数種ある。

[2] 「なんてんじく(南天竺)(一)」の略。
※伝光録(1299‐1302頃)永平元和尚「山家の止観を学し、南天の秘教をならふ」
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