日本大百科全書(ニッポニカ) 「南九州(市)」の意味・わかりやすい解説
南九州(市)
みなみきゅうしゅう
鹿児島県南部、薩摩半島南部にある市。2007年(平成19)揖宿郡(いぶすきぐん)頴娃町(えいちょう)、川辺郡(かわなべぐん)川辺町、知覧町(ちらんちょう)が合併、市制施行して成立。これにより指宿、川辺両郡は消滅した。北東は鹿児島市、南東は指宿(いぶすき)市、北西は南さつま市、南西は枕崎(まくらざき)市と接し、南は太平洋に面する。市域の大部分は山地とシラス台地で、開聞(かいもん)岳から噴出した火山礫(れき)や砂(コラ層)で覆われている。南部海岸をJR指宿枕崎線が横断、これに並走して国道226号が通る。北東から南西に国道225号が、鹿児島市との境界を指宿スカイラインが縦断し、千貫平(せんがんびら)に展望台がある。
川辺町地区は中世、平氏一族の川辺氏が統治、仏教文化が栄えたところで、清水磨崖仏(きよみずまがいぶつ)が残る。鹿児島藩政時代、知覧町地区は佐多島津氏が支配、国名勝の庭園のある武家屋敷群は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。第二次世界大戦中は木佐貫原(きさぬきばる)台地に陸軍の飛行場があり、特攻隊の基地となった。頴娃町地区は1970年からの大規模な南薩畑地灌漑事業で基盤整備がなされた。茶(知覧茶など)の栽培や養鶏、畜産が盛ん。川辺仏壇は国の伝統的工芸品に指定されている。知覧町地区で十五夜に行われるソラヨイは国重要無形民俗文化財に指定。面積357.91平方キロメートル、人口3万3080(2020)。
[編集部]