協商(読み)きょうしょう(英語表記)entente

翻訳|entente

精選版 日本国語大辞典 「協商」の意味・読み・例文・類語

きょう‐しょう ケフシャウ【協商】

〘名〙
協議してとりはからうこと。協議。相談
※火の柱(1904)〈木下尚江〉五「如何なる協商の一夜の中に成立したればか」
② (entente の訳語) 二国または数国間において、係争点を調整し、友好関係を樹立するための協定
東京朝日新聞‐明治三七年(1904)三月二四日「我憂慮の因たる問題を解決すべき一の協商を、露国と締結するを期し」

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デジタル大辞泉 「協商」の意味・読み・例文・類語

きょう‐しょう〔ケフシヤウ〕【協商】

[名](スル)
協議してとり決めること。
「如何なる―の一夜の中に成立したればか」〈木下尚江火の柱
《〈フランスentente》国家間の係争点を調整し、親善関係を結ぶための協定。同盟よりゆるく、条約ほど正式ではない。「三国協商

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改訂新版 世界大百科事典 「協商」の意味・わかりやすい解説

協商 (きょうしょう)
entente

もとは〈了解〉を意味するフランス語の〈アンタント・コルディアルentente cordiale〉の短縮された言葉で,外交用語として,対外事務の遂行第三国からの軍事的侵略の際の協力など国際的な関係事項に関する特定国家間の協調提携関係をいう。訳語や用例慣用もあって必ずしも一定していないが,政治学的には以下のように区別される。協商は国家間の条約treaty(国際法にのっとり書面形式で締結された国家間の国際的合意のことで,広義の条約は協約convention,協定agreement,取決めarrangementなども含む)というよりもむしろ非公式な合意をいい,同盟allianceのような武力的援助義務の規定をもたない弾力的な関係である。協商は,したがって,たんに国家の首長間の誓約にすぎないこともあり,また,特定国家間の利害対立が当事国間の条約等の締結によって解決された結果,その当事国間に協調提携関係が生じて成立することもある。協商の事例は19世紀後半から第1次世界大戦前後に多くみられる。イギリス,フランス,ロシア三国協商(1894年の露仏同盟,1904年の英仏協商,07年の英露協商により成立),日仏・日露協約(1907),第1次世界大戦後のチェコスロバキア,ユーゴスラビア,ルーマニアの3国間に締結された小協商など。この英仏露三国協商は,第1次世界大戦が近づくにつれて,実質的に軍事同盟的傾向を強めていった実例である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「協商」の意味・わかりやすい解説

協商
きょうしょう
entente

フランス語の「親しい協和」 entente cordialeという言葉から生じた外交用語。 H.ニコルソンはこれを「一定の国家間における見解と利害の類似および一定の問題に関する政策の一致を意味し,『同盟』と『友好関係』の中間に位置する」と定義づけているが,一般には条約,協定,取決めなどに直接基づかない国家間のゆるい協力提携関係を表わすものとして用いられる。ときには条約に基づく協力提携関係をさして用いることもあるが,その場合でも,援助義務発生条件を明文化しないのが同盟と異なる点である。歴史的にはイギリスとフランスの間の種々の協力関係をさすが,特に英仏協商をさす場合が多い。

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百科事典マイペディア 「協商」の意味・わかりやすい解説

協商【きょうしょう】

国家間の親善関係を規定したもので,条約というよりも非公式な合意による弾力的な関係で,武力的援助義務の規定はもたない。今日ではあまり使用されない。英仏協商英露協商などが著名な例。

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普及版 字通 「協商」の読み・字形・画数・意味

【協商】きようしよう

協議。

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