半田(読み)はんだ(英語表記)solder

翻訳|solder

精選版 日本国語大辞典 「半田」の意味・読み・例文・類語

はんだ【半田】

愛知県中南部の地名。知多半島東岸にあり、衣ケ浦湾に面する。江戸時代廻船拠点であり、醸造業・綿工業を中心繁栄。現在は衣浦(きぬうら)臨海工業地帯の中心都市として重工業がさかん。昭和一二年(一九三七市制

はんだ【半田】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「半田」の意味・読み・例文・類語

はんだ【半田/×陀】

《語源未詳。地名からか》すずとの合金融点が低く、金属の接合に用いる。

はんだ【半田】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「半田」姓の人物
半田義之はんだよしゆき
半田良平はんだりょうへい

はんだ【半田】[地名]

愛知県南西部知多半島東岸の市。清酒・酢などの醸造業が盛んで、さらし木綿を特産。人口11.9万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「半田」の意味・わかりやすい解説

半田 (はんだ)
solder

金属接合用に使われる鑞(ろう)合金を広く〈はんだ〉と通称するが,本来は鑞合金のうち融点の低い軟鑞といわれるものを指す。〈半田〉という文字が地名によるものか人名によるものかは明らかでない。代表的なものに鉛とスズの合金がある。鉛-スズ合金は,スズ63%,182℃に共晶点のある共晶型合金である。はんだとして使用されるものはスズ10~90%の組成にわたっている。一般にスズの多いもののほうが接着性がよいが,スズの量が多いため高価である。スズ90%のはんだは鉛が少なく毒性が低いので食料品に接するものなどに,スズ60%の共晶点に近いものは精密なものに,スズ50%のものは一般用に用いられる。はんだ付けの際には接合をよくするために金属のさびや汚れを落とし,酸化をさけるため接合面を塩化アンモニウムや松やになどの溶剤(フラックス)でおおって行う。はんだは広い範囲の金属の接合が可能であるが,アルミニウムとその合金の接合は困難なので,この場合は亜鉛合金鑞などが使用される。
鑞付
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半田[市] (はんだ)

愛知県知多半島東岸の市。1937年市制。人口11万8828(2010)。市域は西半部の知多丘陵と東半部の海岸段丘や低地からなり,市街地は衣浦(きぬうら)湾に臨む良港の半田港を中心に発達する。半田港は江戸時代に尾張の商船の拠点となり,地元に産する清酒,食酢,知多木綿などを江戸へ積み出した。現在は重要港湾衣浦港の中核をなし,衣浦臨海工業地帯に属する鉄鋼,車両などの工場も立地,1995年の製造品出荷額の20%は鉄鋼が占めている。伝統的な醸造業も活発で食酢は全国一の生産をあげ,知多木綿を基盤とする紡織も盛んである。1886年に東海道本線敷設用の資材を運搬するために建設された武豊(たけとよ)線と,1931年開通の名鉄河和(こうわ)線が通じ,名古屋市との結びつきが強い。愛知用水の完成後,乏水性の丘陵地では果樹,花卉の栽培や酪農が活況をみせている。亀崎潮干祭,大獅子・小獅子など多彩な郷土芸能が伝えられている。
執筆者:

半田(徳島) (はんだ)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「半田」の意味・わかりやすい解説

半田
はんだ

徳島県北西部、美馬郡(みまぐん)にあった旧町名(半田町(ちょう))。現在は、つるぎ町の北西部を占める地域。吉野川中流南岸に位置する。旧半田町は、1926年(大正15)町制施行、1956年(昭和31)八千代(やちよ)村と合併。2005年(平成17)貞光(さだみつ)町、一宇(いちう)村と合併して、つるぎ町となった。JR徳島線、国道192号が吉野川沿いを走る。享保(きょうほう)年間(1716~1736)に始まる半田塗の製造で知られ、最盛期の明治時代には東京、北陸などへ出荷したが、その後、衰退した。1989年に「半田漆器復活協議会」が発足、半田塗がふたたび製作されるようになった。手延べそうめんの製造が盛んで、茶、カキ、コンニャクの生産も多い。西部にある土々呂の滝(どどろのたき)周辺は遊歩道や親水公園が整備されている。

[高木秀樹]

『『半田町誌』全3巻(1978~1981・半田町)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「半田」の意味・わかりやすい解説

半田
はんだ

徳島県中北部,つるぎ町北西部の旧町域。吉野川中流南岸にある。 1956年半田町 (1926年町制) と八千代村が合体して半田町が発足。 2005年貞光町,一宇村と合体してつるぎ町となる。大部分は山地,丘陵地で,中央を吉野川支流の半田川が北流する。江戸時代から漆加工が盛んで,明治時代には南の木地屋集落 (旧一宇村) の材料を用いた盆などが半田塗として東京,北陸方面へ出荷されたが衰退した。農業のほかに製麺業が発達し,手延べの半田そうめんとして全国的に知られる。土々呂 (どどろ) の滝,高清 (こうせ) の大杉があり,多聞寺では県の文化財の十一面観音像を収蔵。

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世界大百科事典(旧版)内の半田の言及

【河内国】より

…この結果,堤防・川床になってつぶれた土地は274町歩,石高3700石余,新しく開かれた新田は鴻池新田をはじめ48ヵ所に及び,1063町歩,石高1万0950石余であった。 古大和川の流域には〈半田(はんだ)〉という特有の耕地形態があった。湿田の中に土をかきあげてつくった畠をいい,半田では表作に綿,裏作に麦をつくり,低い方の湿田は排水不良のため稲の一毛作のみであった。…

【亀崎】より

…海運業者は西洋型帆船や汽船を取り入れ,海運の近代化を図ったが,それは困難な道であった。1937年半田町,成岩(ならわ)町と合併し,半田市となった。【村瀬 正章】。…

【鑞付】より

…銀鑞の場合は600~900℃で物理的性質が良い。軟鑞は普通はんだ,白鑞と称され,スズ(錫)と鉛の合金をいい融点は180~300℃で物理的性質が悪いが,手軽に接合できるので多く用いられ,われわれの周囲にもよく見うけられる。硬鑞には金鑞,銀鑞,シンチュウ(真鍮)鑞,洋銀鑞,四分一(しぶいち)鑞,赤銅鑞,サハリ鑞,銅鑞などがあり,古くは銀鑞が使用された。…

※「半田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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