半切（読み）ハンセツ

デジタル大辞泉

はん‐せつ【半切／半折／半^×截】

［名］(スル)
１ 半分に切ること。半分に分けること。せっぱん。「土地を―して分ける」
２ （半折）唐紙・画仙紙などの全紙を縦半分に切ったもの。また、それにかかれた書画。
３ 写真用印画紙の全紙を半分に切った大きさ。四つ切りの2倍。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

はん‐ぎり【半切】

〘名〙

① 半分に切ったもの。

※島津家文書‐慶長三年（1598）正月晦日・豊臣氏奉行衆連署副状「半弓之用心に、半切之楯数多可_レ有_二用意_一旨、被_二仰遣_一候」

② 能装束の袴の一つ。形は大口袴に似て裾短とし、金襴、緞子(どんす)などにはなやかな織模様のあるもの。荒神・鬼畜などの役に用いる。はんぎれ。〔易林本節用集（1597）〕

③ 歌舞伎衣装の一つ。広袖で丈(たけ)が短く、地質に錦または箔(はく)を摺り込んだもので、主に荒事役に用いる。はんぎれ。

※歌舞伎・男伊達初買曾我（1753）一「五郎時致、半切、小手、臑当」

④ (半桶・盤切) 盥(たらい)の形をした、底の浅い桶(おけ)。はんぎりのおけ。はんぎれ。〔日葡辞書（1603‐04）〕

⑤ ＝つりごし（釣輿）

はん‐ぎれ【半切】

〘名〙

① ひと切れの半分。

② ＝はんぎり（半切）②

③ ＝はんぎり（半切）③

※歌舞伎・時桔梗出世請状（1808）四幕「ドンドンにて十次郎、鎧下の形、半切れ・手甲・毛沓・抜刀にて出てくる」

④ ＝はんぎり（半切）④

※歌舞伎・網模様燈籠菊桐（小猿七之助）（1857）五幕「酒樽の半切」

はん‐きれ【半切】

〘名〙 ＝はんきりがみ（半切紙）

※歌舞伎・四千両小判梅葉（1885）三幕「熱海は雁皮の半切(ハンキレ)が名物だと聞きましたが」

はん‐きり【半切】

〘名〙 (「はんぎり」とも) 「はんきりがみ（半切紙）」の略。

※親元日記‐文明五年（1473）八月八日「八幡田中殿より、御香水御返事調之〈杉原半切〉」

出典　精選版 日本国語大辞典

改訂新版　世界大百科事典

半切 (はんぎり)

能装束の一種。袴の類。〈はんぎれ〉ともいう。形は大口（おおくち）に似て前に大きくひだがあり，後ろが平らで，左右に広がっている。白地，赤地，萌葱（もえぎ）地などの金襴に華やかな模様を織り出してあり，前後共布で仕立てる。法被（はつぴ）または袷狩衣（あわせかりぎぬ）のときに着け，《八島》《箙（えびら）》のシテなど戦陣の姿，《賀茂》《嵐山》《是界（ぜがい）》《野守》のシテなど荒神，鬼畜，天狗などの役に用いる。なお，歌舞伎でも《船弁慶》《連獅子（れんじし）》などの能をとり入れた舞踊では能装束の半切と同形のものを用いるが，歌舞伎衣装には，能装束の半切とは別に半切と称する，広袖で丈の短い地質に錦または箔（はく）を摺り込んだ衣装があり，おもに荒事（あらごと）役に用いる。
→能装束
執筆者：羽田 昶

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

日本大百科全書(ニッポニカ)

半切
はんせつ

唐紙(とうし)や画牋(がせん)紙などの中国産の紙（全紙）を縦に半分に切ったもの。またそれに書かれた書画のこともいう。半切を軸物に仕立てたものは条幅(じょうふく)という。

［町田誠之］

[参照項目] | 条幅

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

百科事典マイペディア

半切【はんせつ】

唐紙や画仙紙などの全紙を縦二つに切ったもの，またそれに書かれた書画。

半切【はんきり】

半切紙の略。縦が短く横に長い和紙で，杉原紙を横に二つに切って継ぎ，書簡用の巻紙としたことに由来。主産地は静岡，鳥取，高知などの諸県。

出典　株式会社平凡社