千草街道(読み)ちぐさかいどう

百科事典マイペディア 「千草街道」の意味・わかりやすい解説

千草街道【ちぐさかいどう】

近江国と伊勢国を結ぶ鈴鹿山脈越えの街道。千種とも記し,千草越などとも称する。近江八幡や八日市(ようかいち)方面から甲津畑(こうづはた)を経て,雨乞(あまごい)岳北山腹を登り,杉峠・水晶谷を経て御在所(ございしょ)山北方の根平(ねのひら)峠を越え伊勢に入る。以後朝明(あさけ)川沿いに東へ下り,千草を経て桑名・四日市方面に向かう。中世には北方の八風(はっぷう)街道と並んで近江商人が伊勢に出る重要な通商路であった。戦国期には近江の保内商人が街道通行の特権を握り,通行税を支払う一方,他の通行者からは役銭を徴収していた。1558年の史料に,保内商人が運搬の独占を主張したものとして苧麻・紙・木綿・陶磁器・油草・若布・海苔・鳥類魚類などがあげられている。なお,1570年越前朝倉氏攻めに失敗した織田信長が,当街道を通り岐阜に退却する際,杉谷善住房に狙撃されたという。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android