千宗室(せんのそうしつ)(読み)せんのそうしつ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

千宗室(せんのそうしつ)
せんのそうしつ
(1622―1697)

江戸前期の茶人。裏千家今日庵(こんにちあん)1世。千宗旦(そうたん)後妻の子(四男)。初め玄室、のち宗室といい、仙叟(せんそう)と号す。野間玄琢(げんたく)について医学を修めたが、玄琢の死により家に戻り、1652年(承応1)加賀藩前田利常(としつね)の茶頭(さどう)となる。陶工長左衛門に茶陶(大樋(おおひ)焼)を焼かせ、釜師(かまし)宮崎寒雉(かんち)に茶釜をつくらせ、これが地元における美術工芸興隆の因となった。90年(元禄3)利休百年忌にあたり屋敷内に利休堂を建てた。三千家における祖堂の始まりである。父宗旦が宗左に家督を譲ったあと、北隣に住んで営んだ今日庵を受け継いだことから、宗室の系統を裏千家といい、一般には今日庵の名でよぶこともある。

[村井康彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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