千万(読み)センバン

デジタル大辞泉 「千万」の意味・読み・例文・類語

せん‐ばん【千万】

[名](多く副詞的に用いる)
さまざま。いろいろ。はなはだ。まったく。「千万心を砕く」「千万かたじけない」
返事に堪へかねて、思案すること―なり」〈仮・伊曽保・上〉
万が一にも。万一
「是は―蒐合かけあひいくさにうち負くる事あらば」〈太平記一八
[接尾]形容動詞語幹や性質・状態を表す体言に付いて、その程度がはなはだしいという意を添える。「無礼千万」「迷惑千万
[類語]至極とても非常大層大変極めて至ってはなはすこぶごくいとも実にまことに大いにいたく・ひどく・恐ろしくすごくものすごく滅法めっぽう

ち‐よろず〔‐よろづ〕【千万】

限りなく多い数。無数。「千万の神々」

せん‐まん【千万】

万の千倍。転じて、非常に数の多いこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「千万」の意味・読み・例文・類語

せん‐ばん【千万】

[1] 〘名〙
※天草本平家(1592)四「トウゴク カラ ノボッタ ツワモノ icuxenbanca(イクセンバンカ) アラウズレドモ」
② (多く副詞的に用いられて) 程度のはなはだしいさまやさまざまの状態であるさま。いろいろ。さまざま。はなはだ。きわめて。全く。
※蓮如御文章(1461‐98)一「いかやうにこころえられたる心中ぞや。千万(せんばん)心元なき次第なり」
怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一五「御承知くだすったか。千万(センバン)(かたじ)けない」 〔通俗編‐数目〕
[2] 〘接尾〙 形容動詞の語幹や性質や状態を表わす体言に付いて、その程度のはなはだしい意を添える。
※平家(13C前)一一「後悔千万かなしんでもあまりあり」
東寺百合文書‐に・年未詳(室町)一〇月二六日・中沢元基書状「われわれめいわく千万候」

せん‐まん【千万】

〘名〙
① 万の千倍。一千万。転じて、ひじょうに数量が多いこと。多量。沢山せんばん
菅家文草(900頃)四・冬夜閑思「千万思量身上事、窓間報得欲明天」
※平家(13C前)五「生きたる人のまなこの様に大のまなこどもが千万(センマン)〈高良本ルビ〉いできて」
※太平記(14C後)一八「是は千万懸合(かけあひ)の軍に打ち負くる事あらば、楯籠らん為の用意也」

ち‐よろず ‥よろづ【千万】

〘名〙 数の限りなく多いこと。無数。せんまん。千五百万(ちいおよろず)
万葉(8C後)六・九七二「千万(ちよろづ)の軍(いくさ)なりとも言挙(ことあげ)せずとりて来ぬべき男とそ思ふ」

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普及版 字通 「千万」の読み・字形・画数・意味

【千万】せんまん

千と万。多数。無限。漢・〔上(しやう)始めて元服を加ふ、群臣と寿を上(たてまつ)る表〕令吉日、始めて元を加へらる。~臣等、踴(ふさう)(喜び)に(た)へず。んで牛一頭・酒九鍾を奉じ、稽首再拜して、千の壽を上る。陛下(こ)の吉を享けよ。~詩に曰く、令聞(や)まず 壽無疆と。

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