十字石(読み)ジュウジセキ(英語表記)staurolite

デジタル大辞泉 「十字石」の意味・読み・例文・類語

じゅうじ‐せき〔ジフジ‐〕【十字石】

鉄・アルミニウムを含む含水珪酸塩けいさんえん鉱物単斜晶系暗褐色柱状結晶で、十字形双晶をなすものが多い。

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精選版 日本国語大辞典 「十字石」の意味・読み・例文・類語

じゅうじ‐せき ジフジ‥【十字石】

〘名〙 鉄・アルミニウム・珪素などを主成分とする鉱物。単斜晶系。柱状の結晶、または、ときに十字形やX字形の双晶を呈して片麻岩雲母片岩などの広域変成岩中に産する。ふつう暗褐色でガラス光沢または樹脂光沢を有する。〔厚生新編(1811‐39頃)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「十字石」の意味・わかりやすい解説

十字石
じゅうじせき
staurolite

泥質岩起源の結晶片岩片麻(へんま)岩中に、鉄礬(てつばん)ざくろ石紅柱石、藍晶(らんしょう)石、珪線(けいせん)石などと産する鉱物。柱状の結晶をなすことが多く、しばしば直交(約90度)あるいは斜交(約60度)する貫入双晶をして十字形になることからこの名がある。日本では富山県宇奈月(うなづき)地方の雲母(うんも)片岩中に大きな結晶が多産する。また、火山岩捕獲結晶としても産する。

松原 聰]

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改訂新版 世界大百科事典 「十字石」の意味・わかりやすい解説

十字石 (じゅうじせき)
staurolite

広域変成作用により生成する鉱物の一種。(Fe2⁺,Mg)4Al18Si8O46OH2化学組成をもち,単斜(偽斜方)晶系に属する柱状結晶を示す。十字形の双晶を示すことが多く,その名の由来となる。暗褐~黄褐色を示すが薄片では無色~黄金色の多色性を示す。比重3.7~3.8,モース硬度7.5。泥岩などが中程度の広域変成作用を受けた場合に晶出し,クロリトイド,ラン晶石などと共生する。十字石はさらに絹雲母,緑泥石などに変質する場合が見られる。
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化学辞典 第2版 「十字石」の解説

十字石
ジュウジセキ
staurolite

Fe(OH)2・2Al2SiO5.鉄のアルミノケイ酸塩鉱物.変成岩中に産出する.単斜晶系,擬斜方晶系.空間群 C 2/m,格子定数 a0 = 0.783,b0 = 1.650,c0 = 0.555 nm.β ≅ 90°.硬度7~7.5.密度3.65~3.77 g cm-3.十字形の双晶を示すことがある.

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百科事典マイペディア 「十字石」の意味・わかりやすい解説

十字石【じゅうじせき】

結晶片岩,片麻岩などの広域変成岩中に多く産出する鉱物。赤褐〜黄褐色,透明〜半透明,ガラス光沢または樹脂光沢を示し,単斜晶系で,結晶は短柱状,ふつう十字形の貫入双晶を示す。比重3.6〜3.8,硬度7〜7.5,へき開明瞭。光学的2軸性で,薄片では無色,黄金色,淡黄色の多色性を示す。組成はたいへん変化が多く,Fe2Al9O6(SiO44(O,OH)2など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十字石」の意味・わかりやすい解説

十字石
じゅうじせき
staurolite

FeAl4O2(SiO4)2(OH)2 。単斜晶系の鉱物。比重 3.65~3.77,硬度7~7.5。十字 (ギリシア語で stauros) 形の双晶が普通にみられるので,この名がある。広域変成帯中に産出し,変成作用の指標になる。

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