医療統計(読み)いりょうとうけい

改訂新版 世界大百科事典 「医療統計」の意味・わかりやすい解説

医療統計 (いりょうとうけい)

一般的にいえば医療に関する統計という意味になるが,〈医療〉という用語だけをとりだして,その意味する範囲や内容などについて考えてみても,以下のように,大きな広がりをもっていることがわかる。すなわち,〈医療〉は医術によって病気をなおすこと,という説明だけでは舌たらずで,このことと自然治癒力とのかかわりあいで考える必要があるし,一方学問領域の関係では,医学ならびに保健学との重なりあいや境界などに対する検討が必要となる。また,医療とその発達を歴史的,社会的な進歩と人権尊重の高揚という視点からとらえようとすると,医療の守備範囲は急速に拡大される。医療の技術は高度化されてきているが,要は病者の健康を回復するうえでのサービスであるから,行政的,財政的な対応も含めた国民のための広範囲な医療対策が求められることになる。以上から,医療統計とはこれらの基礎資料となりうる統計ということになる。このような意味で医療統計を大別すると,(1)人口統計および傷病統計,(2)医療対策統計,(3)医療保障統計,(4)医療整備統計,(5)医療施設統計,(6)医療関係者統計,(7)薬事統計,の七つに分類することができる。(1)はさらに全国,地方,地域に三分でき,(2)は地域保健医療統計,救急医療統計,へき地医療統計,各種疾病統計,医療関係者統計などが医療対策のために必要とされ,(3)は医療保険統計(被用者保険,1927年から実施,国民健康保険,38年から実施),公費医療統計(伝染病予防法など13の法律によるものと,予算的措置による特定疾患治療費など医療扶助に関するもの),国民医療費統計に三分され,(4)は(2)の救急医療統計,へき地医療統計以外に医学的リハビリテーション施設統計,国立医療施設統計,医療金融貸付統計などに分類でき,(5)は病院統計(病院数,病床数など),一般診療所および歯科診療所に関する諸統計,特殊診療機能および設備をもつ医療施設統計,助産所統計に分類でき,(6)は医師歯科医薬剤師保健婦などに関する統計に,(7)は薬局と医薬品販売業に関する統計,医薬品等の生産と輸出入に関する統計などに分類できる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「医療統計」の意味・わかりやすい解説

医療統計
いりょうとうけい

衛生統計

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