医略抄(読み)いりゃくしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「医略抄」の意味・わかりやすい解説

医略抄
いりゃくしょう

医書。平安中期の医師丹波雅忠(たんばのまさただ)が1081年(永保1)に撰(せん)した。全1巻。曽祖父(そうそふ)丹波康頼(やすより)撰の『医心方(いしんほう)』が大部で繁細であったため、救急に必要な52項目を選び、治療法を簡明に記したもの。現存する日本の医書として『医心方』に次いで古い。ただし、すべて中国の六朝(りくちょう)・隋(ずい)・唐、ないしは百済(くだら)の医薬書からの引用で、ほとんど『医心方』の記載と重複する。雅忠の後裔(こうえい)の多紀元簡(たきもとやす)が1795年(寛政7)に校刻してから世に流布した。

[小曽戸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android