北面武士(読み)ほくめんのぶし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「北面武士」の意味・わかりやすい解説

北面武士
ほくめんのぶし

院御所(いんのごしょ)の北面に伺候して警固にあたった武士白河(しらかわ)上皇下級廷臣を御座所に近い北面(きたおもて)に伺候させ、雑事を勤仕させたのに始まり、それに武士を加えて上皇の身辺の警固にあたらせ、さらに御幸(ごこう)の供奉(ぐぶ)・警衛を命じ、ときには僧兵の鎮圧にも動員した。その員数もしだいに増加し、上(じょう)北面(四位、五位)、下(げ)北面(五位、六位)の別も生じた。白河上皇晩年には、80余人を数え、それに郎等(ろうとう)らを加えると1000余人にも上ったといわれ、院直属の重要な軍事力となった。後鳥羽(ごとば)上皇はさらに西面(さいめん)武士を新設して軍事力の強化を図ったが、承久(じょうきゅう)の乱(1221)後廃止され、北面もその後は軍事的性格を失いながらも、院司として江戸時代末まで存続した。

橋本義彦

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android